税金の無駄遣いも、ここまでやれば極めつけと言わざるを得まい。本社取材班は、政務調査費や選挙費用の疑惑など、数々の税金の無駄遣いについて追求してきたが、これほど時代状況を無視した放蕩三昧は珍しい。今回の舞台は、市長の選挙運動費用や政治資金収支報告について数々の疑惑を報じてきた「福津市」である。
　情報公開請求によって出てきた書類は、信じられない「税金の無駄遣い」の証拠だった。

　本社取材班は昨年12月、福津市に対し、数項目の情報公開請求を行った。そのひとつが「区長を伴う研修に関する文書」である。
　開示された書類により、福津市が、「研修」という名目で、全額税金負担による区長の温泉旅行を繰り返していたことが判明した。旅行は平成17年の福間町と津屋崎町の合併前から、旧福間町によって始められ、合併後は福津市として旧津屋崎町の区長も加え続けられていた。
　税金の使い道に厳しい目が向けられている今日、旅行費用を全額税金で支出し、研修とは程遠い内容の「旅行」を行っていたことに、改めて批判が出ている。

　福津市の区長は非常勤特別職の公務員となる。福岡市の旧・町世話人と考えていただければ分かりやすい。要は役所の下請け機関である。
　福津市の場合、旧福間町地区と旧津屋崎地区を合わせ、区長として合計91名がその職にある。
　本社取材班が入手したのは平成14年の旧福間町時代からの文書である。

　毎年、区長幹事のみでの「区長幹事会研修」と、区長全員参加の「区長研修」の2回、必ず実施されていた。
　例えば、「区長研修」の行き先は、毎回九州の観光地、温泉である。全員参加の研修の行き先、宿泊地で確認できるだけでも

平成16年　ハウステンボス、島原　（一人当たりの費用 33,520円×42名）
平成17年　知覧武家屋敷、開聞岳、指宿温泉（　同　29,000円×60名）
平成18年　昭和の町、別府温泉（　同　29,640円×52名）
平成19年　普賢岳、雲仙温泉（　同　32,860円×58名）
とされている。

　旧福間町時代から一人当たりの宿泊料は1万5千円。これとは別に交通費がかかるため、毎回の一人当たりの支出金額が増減する。近場の最低2万円台から、3万円台までである。
　団体旅行における宿泊費一泊／1万5千円は、かなりの待遇が予想される。
　ある旅行業者に聞くと、破格の待遇が期待できる、とするご指摘もあった。

　一体何のために「研修」が、かくも豪華に実施されなければならないのだろう。
次に「区長幹事会研修」の内容も検証してみよう。

つづく