世界的金融不安のなか、格付けの格下げを余儀なくされているJリートがある。直近1ヵ月の格付けと株価動向を以下に掲げておく。
【直近のJリート格付動向】(10月10日より過去1カ月分) | ||||||||
格付機関 |
修正日 |
格付 |
格付の方向性 |
資産運用会社 |
主要株主 |
|||
修正前 |
修正後 |
修正前 |
修正後 |
|||||
ニューシティ・レジデンス投資法人 | ムーディーズ |
9月9日 |
A2 |
A3 |
ネガティブ |
ネガティブ |
シービー・リチャード・エリス・インベスターズ・ホールディングス | シービー・リチャード・エリス・インベスターズ・ホールディングス、ニューシティコーポレーション※ほか |
R&I |
9月17日 |
A+ |
A+ |
安定的 |
ネガティブ |
|||
R&I |
10月9日 |
A+ |
CCC |
(破綻の影響) |
||||
ムーディーズ |
10月10日 |
A3 |
Ba1 |
|||||
日本コマーシャル投資法人 | ムーディーズ |
10月1日 |
A3 |
Baa1 |
安定的 |
安定的 |
パシフィック・コマーシャル・インベストメント | パシフィックマネジメント |
日本レジデンシャル投資法人 | ムーディーズ |
10月1日 |
A2 |
― |
引き下げる方向 |
パシフィック・インベストメント・アドバイザーズ | パシフィックマネジメント、三菱東京UFJ銀行、小田急不動産 | |
ジャパン・シングルレジデンス投資法人 | R&I |
10月8日 |
A- |
A- |
安定的 |
ネガティブ |
ジャパン・シングルレジデンス・アセットマネジメント | インボイスRM、リーマン・ブラザーズ・インベストメンツ・ジャパン・インク、ダヴィンチ・アドバイザーズ |
【上記のJリートのここ1カ月の株価動向】 | ||
9月9日 |
10月9日 |
|
ニューシティ・レジデンス投資法人 | 165,500 |
71,000 |
日本コマーシャル投資法人 | 231,000 |
108,500 |
日本レジデンシャル投資法人 | 260,000 |
115,000 |
ジャパン・シングルレジデンス投資法人 | 155,800 |
82,300 |
このなかで、ニューシティ・レジデンス投資法人はすでに破綻。日本コマーシャル投資法人と日本レジデンシャル投資法人の2つはパシフィックホールディングス(PH)により運営されており、PH社は9月30日、R&Iにより発行体格付けをBBB-からBB-に引き下げられ、さらに格下げ方向のレーティング・モニターに指定されている。ジャパン・シングルレジデンス投資法人の株主のひとつリーマン・ブラザーズ・インベストメンツ・ジャパン・インクも、親会社の米リーマンがすでに破綻。
株価もご覧のとおり、わずか1ヵ月の間で軒並み半値以下まで下落している。ニューシティ・レジデンス投資法人の破綻で、10月10日は最大で10万円下落する投資法人もあるなど、予断を許さない状況が続いている。
※ニューシティコーポレーションは今年8月、福岡の博多湾沖の人工島の土地約5万平方メートルを福岡市より取得することが決まっていた。売買価格は65億円強、地上6階建て、延べ床面積17万5,000平方メートルの物流施設を建設する見込み。