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東京レポート

仕手銘柄として名を馳せた新井組が倒産(下)
東京レポート
2008年10月17日 09:30

NISグループが筆頭株主に

 この事件で、新井組株は許永中から離れ、買い占めから解放されたが、一難去ってまた一難。新井組はゴルフ場開発の失敗で、巨額な損失を出した。2002年8月に自主再建を断念。同年12月主力銀行の三井住友銀行などから655億円の債務免除と鴻池組(大阪市)の資本参加(出資比率34%)を得た。創業者の娘婿である花房正次郎社長など創業一族は総退陣した。

 鴻池組の傘下で再建に取り組んできたが、再び大株主が異動する。06年12月、事業者向け金融のNISグループ(東京都新宿区、嵜岡邦彦社長)が約27億円の第三者割当増資を引き受けて、発行済み株式の39.2%を保有する筆頭株主に登場。鴻池組は資本提携を解消した。

 NISの前身は1960年に愛媛県松山市で日新商事(のちにニッシン、現・NISグループ)として創業した商業手形割引会社。NISの嵜岡邦彦社長(46)は二代目。青山学院大学を卒業して、家業の日新商事に入社。父親の後を継いで社長に就いたのは00年6月。02年にニューヨーク証券取引所に上場し脚光を浴びた(08年上場廃止)。

 同世代のベンチャー起業家たちとの交友は有名。暴力団に食い物にされたアイ・シー・エフ(現・オーベン)が00年10月に東証マザーズが上場したとき、ネットバブルの寵児となった重田康光の光通信、史上2番目の若さで上場した藤田晋のサイバーエージェント、家業の有線放送を引き継いだ宇野康秀のUSENとともに出資している。

 ニッシンが保有していたネット金融会社ウェッブキャッシング・ドットコムをアイ・シー・エフに売却、アイ社がホリエモンこと堀江貴文のライブドアに転売。ライブドアが、その会社の株式交換を利用した買収を錬金術使っていた。ライブドア事件で明るみになった事実だ。

 NISは新井組の民事再生法の申請に伴い、下記のように発表した。

 08年6月末現在、新井組の保有比率は37.34%で、連結簿価は20億3000万円。このほか連結子会社を通じて8400万円の債権を有しており、7億7700万円の工事着手金を支払済みだという。株価は急落。10月10日の安値は51円だった。(敬称略)(日下淳) 

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