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特別取材

北九州の文化・教育を問う 西日本工業大学理事長 鹿田 磨樹 氏
特別取材
2008年11月 1日 07:53

西日本工業大学理事長 鹿田 磨樹 氏地元産業に直結した人材を育成 産学連携の実体を作り上げる!

 西日本工業大学・前理事長入江氏が急逝し、今年3月に新理事長に就任した鹿田磨樹氏。産業集積が進む北九州において、同大学の果たす役割は大きい。今後、さらに高度な技術、社会人としての能力を有する人材の育成が求められている。鹿田新理事長に、大学の現況と今後の方針を聞いた。

全国就職ランキング8位

 ―西日本工業大学は『エコノミスト』誌の大学就職率ランキングで、国公立も含めて全国で8位と素晴らしい評価を得ていますが、どこが評価されたとお考えですか。
 鹿田 学生の理系離れが進むなかで、産業集積の進む北九州・京築地区は、質の高い理工系の人材が常に求められています。高校で進路指導にあたる先生や保護者からも、西工大の就職指導は個人指導が徹底して面倒見の良いことや、数年前の買手市場で就職が厳しい時期でも就職率がほぼ100%だった実績などが評価されているようです。

 ―少子化の流れは、学校経営でも厳しい面があるのではないでしょうか。
 鹿田 たしかに、毎年少子化の影響は強くなってきています。多くの私立大学が定員割れとなり苦戦しています。そうしたなか、西工大も昨年までは順調だったのですが、残念ながら本年度は、小波瀬キャンパスの方が多少定員を割る結果となりました。しかし2年前に小倉のリバーウォーク横に作ったデザイン学部は評判が良く、毎年定員を少しオーバーするほどです。自動車産業が集積する環境ですので、自動車関連の工学部に学生が集まると期待したのですが、少子化と理系離れは予想を超えたスピードだったようです。

 ―どうすればその流れは変えられるでしょうか。
 鹿田 西工大は有田理事長、入江理事長と産業界で経営を担った方が理事長となり、「人を育て、技術を拓く」をモットーとしています。そして大学入学前のPRだけでなく、京築地域の小中高校に大学の先生を出張させて理科の授業を行なうなど、早くから理系への関心を持ってもらう取り組みに積極的です。大きな大学ではありませんが、この地域になくてはならない大学として存在意義を理解していただき、技術者育成の必要性と理工系を学ぶ楽しさを訴えていこうと思っています。

 ―現在の学生の男女比率や留学生の割合はどのくらいですか。
 鹿田 小倉キャンパスにデザイン学部ができた影響もあって、女性が2割ぐらいまで増えています。留学生は全体の10%ぐらいです。今年卒業した5学科の学生のうち2つの学科の総代は中国からの留学生でした。彼らは非常に良く勉強しますので、日本人学生にも良い刺激になっていると思います。
 西工大では出席率の悪い留学生は強制的に帰国させる処置をとっていますので、みんな頑張って勉強しています。留学生は本当に学ぶことにハングリーです。中国の留学生などは、経済的にはすでにかなり豊かになっていても、日本に来て技術を学び自分のものにしたいという気持ちが伝わってきます。

 ―逆に日本人の学生の質はいかがですか?
 鹿田 多様な学生が集まっていると思います。国立の工学部に行くのをやめて、本学に来た学生もいます。学生の多くは一生懸命勉強していますので、教える側の教授陣もさらに彼らの意欲を引き出す努力をしなければなりません。私学の場合、教える側のレベルを高めて、多様な学生を引っ張っていくように、教授陣も切磋琢磨しなければ生き残れません。
 
ビジネスとしての産学連携

 ―産学連携では、より具体的な成果が求められるのではないでしょうか。
 鹿田 たしかに、ただ共同研究するステージは終わったと思います。本学としては、来年度に「大学院・地域連携センター」を小倉キャンパスのすぐ横に開設する予定です。この建物自体は、九電工グループと共同でPFI方式で作り上げるのですが、地域連携センターは大学と企業のノウハウを結びつけ、実際のビジネスとして離陸させていくことを大きな目的と考えています。大学の研究があり、企業の技術があり、市場のニーズがある。それぞれがバラバラではなく、ビジネスとして組み立てていかなければなりません。それには企業と研究者やコーディネーターが身近なものとして交流し、感性のある人材がお互いに出入りすることが必要だと考えました。7階の最上階のスペースを、いろいろな企業や研究者に安く提供して、交流の拠点にしようと考えています。北九州だけでなく、福岡や全国の企業にも関心を持っていただければと思っています。

 ―今後の取組みをお聞かせください。
 鹿田 まず既存の学部学科を改組します。来年度、工学部の機械システム工学、電気電子情報工学、環境建設の3つの学科を、総合システム工学、デジタルエンジニアリングの2学科に改組します。改組の一番の目的は、自動車産業が集積する北九州地域のニーズに応えることです。機械システム工学科の「航空・自動車コース」をデジタルエンジニアリング学科の「自動車・ロボットコース」に改変しますが、自動車産業も更に高度化し、生産ラインに多くのロボットを導入していますので、より現場に役立つ技術を学んでもらおうというのが狙いです。
 小倉キャンパスの方には「キャリアデザインコース」を設けます。これは学生のコミュニケーション能力やプレゼン能力を育成することが目的です。産業界でも人材育成への関心が高くなり、学生が自ら社会人として対応していける能力を磨いてもらうためのコースです。地元北九州の産業界のトップを客員教授として招き、年に数回講演していただこうと思っています。
(松尾 潤二)

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