7月1日に当時の志摩コンクリート工業（株）代表の岡圭一郎氏が、「事業譲渡することに伴い、7月31日付で従業員を解雇する」ことを通告。
　これに対して従業員側は不当解雇として抗議。親会社である松浦市のマツコングループへ従業員全員で「誠意ある対応をせよ」と交渉に行った。しかし岡代表側から「誠意ある対応」がなされなかったので、志摩コンOBの一人に相談し後見人になってもらい連合福岡ユニオンに加入。労働組合（以下、組合）を結成して団体交渉に入った。

　組合側は、賞与・退職金・功労金の5,250万円の確保を含む8項目を志摩コン側に要求。志摩コンの岡代表は態度を留保したが、7月30日が組合側への回答リミットであった。
　「2002年頃から賞与と給与のカットと過酷な深夜残業を強いたにもかかわらず残業代が支払われていない状況が続いた。それでも従業員は我慢し黙々と仕事に従事していた。そして今回の突然の解雇通告。無茶苦茶ですよ。我慢にも限界があった」と関係者。

　7月30日に組合と岡氏の団体交渉があった。その席上で岡氏が有明商事（グローバル社）側へ「会社は売りません」と電話で伝えた。交渉の席上、「私が会社と従業員を守ります」と宣言し、この発言に対しては組合側も驚いた。従業員は一安心したものの、実際には岡氏が志摩コンの経営を立て直せるのかどうか疑問符がついた。「岡圭一郎氏はマネジメント力が全然ない。人望も信用もない。そして能無しだ」（生コン関係者）からだ。

　独自で入手した資金繰り表によると7月31日に1,711万円、8月5日に1,706万円の決済が待ち受けていた。7月23日時点で志摩コンの現預金残高が153,000円。7月31日までの入金予定が408万円。7月31日時点で1,288万円資金ショートする。待ったなしの状況下に陥っていた。（つづく）