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コダマの核心

ディックスクロキ倒産の衝撃、黒木透氏の果たした役割とその限界(後)
コダマの核心
2008年11月18日 09:29

3年の市場の先食いのしっぺ返し
ガラ空き賃貸マンションの山

 2年前から賃貸マンションの空き室状況は話題になっていた。「業者が家主に家賃保証しているので大変だ。ディックスクロキも保証問題で大丈夫か」という問い合わせは時々、行われていた。東京には1ケ月1回行っているが、昨年の秋から賃貸物件の供給過剰の情報を耳にしていた。銀座の東側一帯にあるアパートのがら空き状態を目撃して「福岡も最終局面を迎えるな」と認識をした。事実、福岡にはおいては中心部のマンションでも入居率が悪化しており、建築が中断しているケースも顕著になりだした。

 「黒木さん!!空き室の問題にはどう対処しているのですか?」と質問を投げかけたこともある。賃貸市場の厳しさを認めつつ「賃貸物件のウエイトを下げ、オフィスビル、商業ビル、ホテルさらには分譲マンションにも挑戦してみたい」と次の策を語っていたが、決め手になる戦略はなかったといってよい。

3年先を先食いさせた悪辣金融工学技術に頼ったツケ
 
 ディックスクロキが当初、お客にしていた「家主」にアパートを販売する場合には市場の原理が働いていたはずだ。市場の3年分、先食いをするわけもない。ところが不動産ファンドによる売買が主流になると目先の予算消化に走ってしまう。瞬く間に資金の論理で市場の現実を顧みず、3年分の青田刈りを強行する行動習性がある。青田刈りできる背景には金融工学技術の悪しき発展があった。厳しい指摘であるが、黒木氏は、バランス感覚を持って「市場の反撃の不可避」というリスク回避を準備すべきであった(普段なら冷静でバランス感覚に富んでいる人だが、やはり268億円の売上実績に油断をしていたのだろう)。

 今回の金融恐慌に襲われてディックスクロキが潰れたという総括は間違いだ。表面上は「不動産に融資がつかずに商品不動産の処理が遅れて行き詰った」となるが、全くの認識不足だ。同社は「建築請負がゴールではなく、管理ビジネスを増加させることがゴールだ」というビジネスモデルを確立させて躍進してきた。その事業そのものが家主と空室率の狭間で両立が難しくなっていたのだ。金融恐慌が来襲しようがしまいが、いずれビジネスのバランスが崩れるのは時間の問題であった。さすがの黒木氏でも「マンション管理ビジネスで躍進した術を放り捨ててでも方向転換する」のは無理であった。筆者はかねがね警告を発してきた。「貴社の躍進の武器が命取りになることがあります」と。黒木透氏はまだ53歳だ。充分にやり直しできる年齢でもある。
 

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