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外食業界の問題点を探る (3)
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2009年2月18日 10:11

3. 旧態依然とした業態が多い

 07年度の売上高上位100社を見ると、対前年比は「すかいらーく」が2.2%減、焼肉店牛角を運営する「レインズインターナショナル」が0.7%減、「ジョナサン」が5.6%減と、 レストラン業態が主力の企業の減収が目立つ。
 成熟市場の中で、少子化、ガソリン価格の高騰などが響き、客足は一気にレストランから遠のいた。おまけに原材料費や人件費の高騰は、利益を圧迫している。景気後退の影響は東京などの大都市から先に受けるので、今年あたりから九州でも顕著になると思われる。
 でも、すでに影響を受け始めた企業もある。ロードサイドを中心に700店舗以上のファミレスを展開する「ジョイフル」だ。同社の売上高は2年連続で対前年比2%台の増収を示したが、経常利益では06年度が22.5%増に対し、07年度は7.6%減と、一気にマイナスに転じた。399円ランチが人気を集める一方で、原材料費の高騰が響いたようだ。
 同社は創業者である穴見保雄氏が社長を務めていた96年、「06年までにジョイフル1,000店体制を目指す」と10年構想を発表した。
 「九州地区だけで500店舗は出したい。総人口が1,200万人だから1店舗当たりの商圏人口は2万数千人。それでもペイできるようなローカル戦略をとっていく」と、穴見保雄社長は出店投資増による収益ダウンより、目標達成を最優先させる考えだった。 

客離れで店舗閉鎖を進める中、都市部のお客に絞った業態を福岡天神に出店したジョイフル<br />

リストラは収益回復策にはならない

 ところが、その後、03年に発生したBSE問題の影響で、焼肉やハンバーグなど肉料理を中心とするジョイフルは客離れを起こし、次第に出店は鈍化。04年からは不採算店の閉鎖を始め、同社成長の原動力となった24時間営業も一部の店舗では取りやめた。
 既存店では高齢化社会を意識して、00年頃から和食を中心とした「高齢者メニュー」を導入。05年にはゆめタウン筑紫野に新業態ジョイフルQやはらぺこ丸を出店したが、2年で閉鎖。結局、出店の勢いを取り戻すには至らず「06年1,000店舗体制」は頓挫した(09年1月現在、708店〔九州397店〕)
 07年12月には2代目穴見陽一社長が代表権のある会長に退き、昨年1月に長尾一徳社長が就任。長尾社長は08年下期に不採算店7店舗を閉鎖。9月には福岡三越脇のビルに都市部のお客を狙う「警固公園前店」を出店し、新業態開発のモデルケースとして実験を始めた。
 しかし、同社は店長を除くほとんどがパートかアルバイトで、深夜勤務などのサービス残業が行われ、労働基準監督署の是正を受けるなど労務管理の甘さも露呈している。加えて、減益の影響から人件費削減のために、出店地区ごとに管理を行なうSV(スーパーバイザー) を店長に、店長を副店長に降格するなどの社内リストラも進めている。
 外食離れと景気後退による業績の鈍化、さらにリストラによる従業員のモチベーション 低下を招けば、同社はスパイラル的に収益を悪化させる恐れがある。

【釼 英雄】

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