博多港国際ターミナルの指定管理者選定をめぐる疑惑は拡大する一方であるが、同選定について市議会に提案された議案は2日間の審議の後、20日、福岡市議会で採決される。疑惑が浮上した以上この議案を通すことは許されまい。議会がまともに機能しているのなら、問題が大きくならないうちに選定をやり直すという結論こそ望まれる。この問題でこども病院人工島移転の二の舞を演じることは許されないからだ。市民の不利益になると分かっていて黙認するのであれば、議会の存在価値は皆無となる。JR系JVを指定管理者候補に選定したことで、福岡市がこうむる不利益について検証したい。

▲博多港国際ターミナルにある、ふたつのボーディングブリッジ
データマックスが情報公開請求で入手した文書のなかに、「提案内容にかかる金額比較」というタイトルの1枚がある。09年度から5年間の指定管理期間で公募に応じた1社・2企業体が、福岡市に支払う、もしくは寄付することになる金額を比較したものである。
5名の選定委員のうち3名が支持した博多港開発は、市が管理者に支払う指定管理料と管理者の収入となる利用料金との差額を毎年2,000万円(5年間で約1億円)市に支払う。さらに同ターミナル2階の免税品店を1階に移すなどの施設整備に2億円、合わせて3億円あまりを市に支出するとしているのに対し、JR系JVは、市に支払う金額が毎年1,800万円(5年間で9,000万円)、施設整備に6,500万円程度となっている。これだけで1億5,000万円近くの差が生じている。
市側は選定とは直接関係がないというが、博多港開発が指定管理者になった場合、ボーディングブリッジ整備の費用を負担することが可能だった。この費用は総額5億円で、3セクにしか適用されない国の補助金が受けられる。しかし、選定から漏れた博多港開発は必要のない投資はできないとしている。こうなることは分かっていたはずで、結果、ボーディングブリッジ整備費は港湾特会(=特別会計、つまり借金)を使い、市の全額負担になる可能性が出ている。
福岡市は、前述の金額と合わせ6億5,000万円あまりの金銭的不利益をこうむるのである。それでも「民間の力」を優先するというのだろうか。全くおかしな話である。福岡市の不利益は市民の不利益に他ならない。
JR九州の社長を囲む「すすむ会」メンバーで、同社専務とも飲食を共にする親しい仲だという市幹部や、同じく「すすむ会」メンバーの選定委員、さらには同専務と知り合いだというもう1人の選定委員。JR九州の親交者ばかりを集めたかのような指定管理者候補選び・・・。これを不適切といわずに何というのだろう。残された公文書からは、JR九州と個人的な付き合いがある選定委員が、公平・公正な採点をしたかどうかさえ怪しくなっている。報じてきたように、JR九州の親交者である選定委員ふたりは、採点時、JR系に100点もしくは96点という高い点をつけながら、博多港開発にはきわめて低い点をつけているのだ。
福岡市議会が機能しているのなら、この選定結果を容認してはならない。こども病院問題は、議会での結論を得た後に再燃したが、この問題はこれからさらに拡大する。そのことだけは予告しておきたい。
(参照)

▲提案内容にかかる金額比較