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探偵は見た!! 調査ファイル(1) ピンクのネクタイにご用心!
探偵は見た
2009年3月13日 11:15

相談者 48歳男性

 私共は、親の代から貴金属(ジュエリーや時計)を扱う会社を営んでおり、販売店を数店舗経営しております。
 歳の離れた弟(39歳)と2人でやっておりましたが、その弟が遅い結婚をすることになりました。相手の女性の両親が小さな製紙工場を営んでおり、一人娘で跡取りがいないこともあって、弟をぜひ婿養子にという話でした。弟も乗り気でしたので、今後の会社の不安もありましたが、私は弟の幸せを喜び、弟の仕事を引き継げる人材を探すことにしました。

 色々と手を尽くして人材募集をかけましたが、不況で就職難とはいえあまり多くの応募は来ず、採用に頭を悩ませていたときに現れたのがK氏でした。
 K氏は38歳のバツイチで、ある大手メーカーの総務経理の経験があるだけでなく、友人と共同でアパレルの会社を経営した経験もあるとのことでした。そのせいか服装もオシャレで人当たりも良く、営業面でも活躍できそうな人材でした。ピンクのネクタイに似合うスーツを、センス良く着こなしていたのを覚えています。
 私は、彼に大きな期待をして採用を決めたのです。

 K氏は、私の期待以上によく頑張ってくれました。最初の1年位は事務の女性と共に会社の経理を担当してもらいましたが、後のことを考えてか、店舗での販売活動や、お得意様を訪問したり、販売促進に繫がる活動も幅広くこなしてくれていました。
 私はK氏とよくお酒を飲みに行きました。K氏の年齢が弟と近かったせいでしょうか、私はK氏をとてもかわいがり、仕事の話はもちろんのこと仕事以外の事も何でも話せる間柄になっていきました。私は彼を信頼していたのです。

 K氏が入社して2年半が経とうとした頃だったと思います。
 彼が突然辞めたいと言ってきました。理由を聞くと、田舎の父親が急に倒れて彼のほかに面倒をみる者がおらず、帰らなければならないということでした。
 あまりにも急でしたし、その頃の彼は会社全体のことを把握し、私とともに経営戦略まで考えてくれていたので、彼がいなくなると困るというのが私の率直な気持ちでした。
 私はK氏に辞めるのを数ヶ月待って欲しいとお願いしました。また、辞めなくても状況が落ち着くまで少し休んで復帰してはどうか? と提案しましたが、彼は一刻を争う事態で、とてもそんなことは考えられないと答えました。
 とりあえず、翌日から数日休暇をとり、その後1ヶ月は会社に出てくるという約束を取り付けたのですが…翌日、彼の状況を聞こうと携帯に連絡しましたが繫がりません。何度かけても留守電か圏外です。

 そのとき、事務の女性から変な報告を受けました。ここ1ヶ月程の間、お得意様からの売上金が数件分入金されていないと言うのです。全てK氏が担当していたものでした。
 私は急に不安になり、汗ばむ手でK氏の携帯に何度も連絡しますが繫がりません。K氏の履歴書を引っ張り出し、緊急連絡先の実家に電話してみましたが繫がりません。K氏の自宅にも行ってみましたが、やはり何の応答もなし…。やられた…。
 裏切られたという悔しい気持ちと、何ともいえない悲しい気持ちで一杯でしたが、私はすぐに対応策を考えなければなりませんでした。警察に相談に行くことも考えましたが、社内で起こったことですし、他の社員やお客様のあいだに変なうわさや評判が流れても困ります。私は知り合いから紹介された興信所に依頼し、K氏の居場所を突き止めることにしました。

 興信所からK氏の居場所が判ったとの連絡を受け、私は引き続き数日彼の素行調査を依頼しました。すると、数件の同業者を訪問しているとのこと…。
 私は興信所の方と共に、K氏が自宅に帰ってくるのを待ち伏せして彼に接触しました。K氏を前にして、問い詰めたい気持ちで一杯でしたが何から話してよいのか頭が混乱して言葉が出てきません。K氏の方は、逃げる様子も慌てる様子もなくこちらの出方を伺っているのか無言で私の顔を見つめるばかり。
 長い沈黙があったあと、興信所の方が状況確認のためK氏にいくつか質問をすると、K氏は会社のお金を横領したことを認めました。
 驚くことにK氏は会社のお金を横領しただけではなく、我社の顧客データを持ち出し、それを同業他社に持ち込もうとしていたのです! 私は愕然としました。怒りも通り越して頭が真っ白になったのです。
 K氏を弟のようにかわいがり、信頼していただけにショックが大きかったのです。事情を聞くと、彼は別れた奥さんと子供に毎月生活費を送らなければならず、ギャンブル等で膨らんだ消費者金融からの借金返済にも首が回らなくなっていて、最近ではヤミ金にまで手を出していたとの事でした。

 K氏は特に悪びれる様子もなく淡々と話し、私はあきれかえってしまいました。横領したお金は、倒れていたはずの両親から一部を借りて返済し、残りは分割で返してもらうことになりました。
 K氏の行為は絶対に許されるものではなく、私の心にも一生大きな傷となって残ることとなりましたが、最悪の状況の中、顧客データの流出を未然に防げたのは幸いでした。

 K氏が去って数年が経ちます…が、私は未だに採用面接でピンクのネクタイを見ると、背筋が凍ってしまいます…。

*ご依頼者、ご相談者のプライバシー保護のため、一部フィクションとなっておりますが、基本的な内容は実話にもとづいております。

【情報提供】
商号: 総合探偵社F.R.C. (エフ アール シー)
所在地: 福岡県福岡市福岡市中央区薬院4-18-36 BMC薬院ビル4F
代表者: 鈴木 教夫


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