不動産管理事業の現状
―マンションの販売戸数があまり芳しくない状況にありますが、分譲マンションの管理に関してはどうでしょうか。
高橋 当社が所属する業界は、共用部分の管理を行なうことが仕事となります。そのため賃貸管理会社と違って、あまり入居率というものを意識することはありません。新規契約の観点から見ると、新規のマンションが建築されれば、それが新しいお客様となるため、新築マンションが減少する状況下では厳しい環境にあります。しかしながら、この業界は新築物件だけでなく既存のマンション管理組合が管理会社を変更するということも多々あります。
香田 当社は昨年7月に立ち上げ、10月から丸美さんが管理されていたマンションを14棟、1,000戸超を管理させていただいております。先ほどのえんさんの話じゃないですが、やはり入居者や区分所有者に向けた考え方をしていかないと、これからは生き残っていくことは難しいと考えています。とくに久留米の方の、賃貸マンションの管理のオーナー様に話を聞くと、入居付けなどが放置されている部屋も結構あり、困っているというお話を受け、当社で賃貸の管理も進めています。
―デベロッパーの立場で管理会社を選ぶ基準で、ここは譲れないという箇所はありますか。
黒石 当社は一社に絞りこんですべてお任せしています。もともと当社で管理(BM、ビルマネージメント)を行なうのが良いのでしょうが、ハードの部分においてはどうしてもアナログ的になりがちなので、特定のBM会社にアウトソーシングしています。PM(プロパティマネジメント)などソフトの部分に関しては自社でやっていますが、BMについては、我々の目が届かないところをどこまでやってくれるのかを期待しています。
また、当社はファンドやリートを相手に不動産を販売しているため、BM、PMなどあらゆるプランニングにかかるコストダウンが求められます。ですから、コストダウンを徹底的に追求して、それでも受けてもらえるBM会社に限定されます。
ファンドやリートは不動産を金融商品としてみており、求めるものはやはり数字となります。その金融商品が崩れつつあるなかで、そこに求められるのはガラス張りの数字なのです。このような厳しいコストのなかでBMをお手伝いしていただいているため、当社では全ての物件を1社にお任せしているわけです。
小林 当社はコンプライアンス重視、お客さま満足度向上(CS戦略)の重視により、すべて自社で行なっています。組織図上は物件を仕入れる開発事業部、オーナーとの縁を作る営業部、そして建物管理・賃貸管理・賃貸営業・リフォームをトータルで行なう開発事業部があります。
(文・構成:阿比留 真平)
座談会参加者(50音順) | |
(株)リアン・インク | 代表取締役社長 黒石 征幸 氏 |
(株)ジャスティス | 常務取締役 香田 直樹 氏 |
(株)えん | 専務取締役 小林 貞明 氏 |
(株)合人社計画研究所 | 西日本統括福岡支店長 高橋 秀樹 氏 |
(株)早川不動産 | 代表取締役社長 早川 眞市 氏 |