NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

深層WATCH

これでいいのかーJAの法律相談(下)
深層WATCH
2009年3月 3日 08:40

 そして正月に入って間もなく息を引き取った娘の葬儀、初七日などに追われていたころ届いたのが先の訴状だった。B氏がAさんの相談相手の農協に不信を抱くのも当然だ。そこで仲池上支店に問い合わせたところ、「法律相談の窓口は提供するが、それ以上は相談者と弁護士の関係で農協は関与しない」というものだった。
 JA東京のさまざまな事業のなかには、組合員や準組合員のためのサービスとして法務、税務相談の窓口が設けられている。主に資産管理に関する相談に対応するものだ。
「顧問契約している法律事務所が2つ、税理士事務所が2つあり、それぞれ持ち回りで支店での相談に応じています。それぞれの事務所所属の弁護士、税理士ですが、日によって異なるので必ずしも同じ人というわけではありません。相談内容について、窓口として概略は聞いても具体的な中味はあくまでも相談者と弁護士、税理士間で行なわれるため、当方として関与はしません」(JA東京総務部)。
 この相談窓口、全支店にあるわけではなく、「ハウジングOO店」といういわば不動産部門を併設している烏山、馬込、砧の3支店で、仲池上支店の組合員は近くの馬込支店へ相談に行く形になる。その馬込支店は「当店での相談日は毎月第2木曜日。相談者は平均すると2~3人。相談料は無料で、時間は長短いろいろ。内容は主に相続や資産の売買、所有不動産の賃貸に関するものです」(ハウジング馬込店)という。
 Aさんの農協顧問弁護士への相談がいつから、どのような話し合いを経て訴訟に至ったのか。母子間で感情のもつれがあれば、弁護士が間に入って話し合い、仲裁の労をとってもおかしくはないはず。何か急いで裁判で決着をつける必要性が生じたのか。その辺りの事情をAさんに聞いてみたが、「話したくない」の一点張り。Aさんの訴訟代理人となっているJA東京の顧問弁護士事務所も「取材には応じられない」という。
「私の顧問会計士も通じておフクロが何を考えているのか、聞いたところによると分割して売却しようということらしいんですが、よくわかりません。だいたい年寄りがいまなぜそんなことをする気になったのか。誰かに何か吹き込まれたんじゃないか、と」(B氏)。
 訴状には「原告自身に相続が発生した場合に被告らの間で争いがないよう」とあるが、「相続が発生した分はそのまま三等分すればいいから争いは起きようがない」(B氏)だけに、確かに妙ではある。
 JA東京の2007年度の各事業の総利益約52億円の70%は、農協の柱である預貯金や貸し出しの信用事業。残る30%は共済事業と宅地等供給事業がほぼ半々だ。しかし、信用事業、共済事業ともに過去数年は横バイ。伸びているのは宅地等供給事業のみで、05年度比で倍増近い。そんな農協の組合員の家族内訴訟事件である。それを「当方は相談の場を提供するだけでそれ以上は相談者と弁護士の関係」(JA東京総務部)で済ませられるのか。そもそも相談にのる顧問弁護士がそのまま原告の代理人になること自体がはたして妥当なのか。
 高齢化社会のいま、全国どこでも起こりうることだけにその点を改めて同農協、および全国組織である全国農業協同組合中央会の見解を質したが現時点ではまだ回答がない。(了)

【恩田勝亘】

プロフィール:恩田勝亘(おんだ・かつのぶ)
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない ― 舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』 (七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

関連記事

powered by weblio


深層WATCH一覧
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル