3月2日、民事再生法の適用を申請した大手液晶パネル製造メーカーのナカン(株)(千葉市)。
負債総額は流動的ながら約100億円が見込まれる。
同社は1937年10月に創業、58年1月に(株)中西鉄工所として法人改組した。当時の主力生産品目は印刷機械とその関連部品であったが、80年代後半より印刷機械製造のノウハウを活かし、液晶ディスプレイ向け配向膜塗布装置の生産に転化していった。その中でも、フルハイビジョン対応の液晶ディスプレイテレビの需要が伸びたことで、同社の製造装置は世界シェアの90%を占め、2007年6月期の売上高は232億5,550万円を計上していた。
しかし、その後はサブプライムローン問題に端を発する世界的な経済状況の悪化の影響で、中国企業からの大口受注がキャンセル。さらにリーマンショックが相まって、業績悪化に拍車が掛かり、急激に資金繰りが悪化。昨年夏以降、取引先に対して支払い条件の変更を申し出たことで、一部の業者とはトラブルになった。そのうえ、今年1月には大規模なリストラを実施したが、業績回復のメドが立たず、今回の措置となった。
今年1月16日にはジャスダック上場で、半導体ウェハー洗浄・乾燥装置製造のエス・イー・エス(株)(東京都国立市)が民事再生法の適用を申請。また、北九州地区にはあまたの東芝の下請業者が点在する半導体業界。自動車各社は在庫調整が進み、4月からの増産が発表されたが、半導体業界の試練はまだまだ続きそうである。
【新田 祐介】
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