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「日本郵政の闇『チーム西川』」への過剰反応(2)
深層WATCH
2009年6月26日 08:00

 田中氏が郵政広報にどう説明したか、あるいは両者間で善後策をどう打ち合わせたか知る由もないが、同氏のいかにも場当たり的なご都合主義には呆れるばかりだ。「接待」を問題視するならば、記事のそもそもの出発点は料亭への横山氏以下の郵政社員の出入りだ。彼らが接待しているのか、されているのか。どちらであれ注目すべきこと。それというのも政財界人が使う有名料亭として、一人当たり金額は最低でも5~6万円、通常7~8万円だ。郵政はさまざまな業者から接待されることはあっても、接待する必要はないはず。あるとすれば政治家か官僚だろう。
 「3万円以上の飲食費は副社長決裁の内規がある」(郵政関係者)というが、情報公開請求で明らかにできるかといえば、「当社は民営化で情報公開の対象外」(広報室)である。一方、接待されたとすれば、それこそ郵政の不透明さ。横山氏が同料亭に出入りし、さまざまなエピソードがあるのは複数から耳にしていた。それについては料亭が証言するか、接待した側が認めない限りは公にならない。しかし、顧客の秘密を守るのが料亭。実際、取材しても言質は得られなかった。それを接待した側として認めたのが田中社長だったのである。
 これまでの記事通り、独立系中小企業のT社が自社の能力を超えて郵政から受注できた背景説明として、T社による横山氏以下の郵政社員への接待があった。郵政側出席者は横山氏のほか3人。いずれも不動産企画部の部長だ。郵政本社の部長といえばエリートである。田中氏には3月ごろから再三、再四取材要請してもナシのつぶて。そこで本社にも出向いて再度取材申込みし、さらに催促した結果、やっと電話で会話できたもの。そこで同氏は「私はあのような偉い人が行くようなところには縁がない。横山さんだか何だか偉い人がいましたがよく覚えていなくて」とはいうものの、支払いについては「初めてなので現金を用意して行った」という。
 その言い方が気になり直接会ったところ、横山氏と会ったことは認めつつも支払いについては「何回か請求書が来たこともあるが払っていない」などと曖昧。そこで再取材した結果、料亭への支払いは、当時、T社の営業担当執行役だったA氏が立て替えていた。A氏はしかるべき報酬の下にT社の営業拡大を図り、郵政への接待もその一還だった。しかし、T社が郵政から幅広く受注したあと、「営業方針が違うこともあって辞めてもらった」(田中氏)という。
 その間、田中氏はA氏ともども料亭で外資系金融機関幹部に会い、外資系ホテルチェーンの仕事も紹介されているが、T社の能力からいって受注は無理。「(料亭から)請求書が来ても払う義務はないので捨てた」と田中氏はいうが、郵政も外資も同社時代のA氏の仕事であり、支払いだ。
 それをこの期に及んで「現金で持っていったというのは横山さんに会う半年前、別のところへの接待で郵政ではありませんでした。私の勘違い、思い違いでした」(田中氏)というから呆れるほかない。同氏には都合3回取材しているが、ツジツマの合わないことが多い。
 法的措置も辞さないというのであれば、料亭を舞台にした郵政の不透明さも併せて明らかになる。つけ加えたいのは、小泉流にいえば「怒るより笑っちゃう」のが郵政広報。「報道担当トップとしての権限で、恩田さんの取材は一切受け付けません」という佐藤次長の最後通告だ。官庁でも民間でもこんな広報マンに出会ったのは初めてである。ぜひ会いたいものだ。

(了)


恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

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