NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

深層WATCH

終わりなき「日本郵政の闇」─物流倉庫はパンドラの箱?(1)
深層WATCH
2009年7月15日 08:00

 麻生内閣を揺るがせた郵政問題はいったん収束したものの、総選挙での民主党勝利ならもとより、たとえ与党がしのいだところで自民党内にくすぶる民営化論議が再燃するのは必至。西川善文社長続投はいわば必ず破裂する時限爆弾だ。郵政事業にガバナンス(統治)、コンプライアンス(法令順守)を確立すべき経営陣自らそれを放棄し、政治力学でその座に留まっているなら爆弾が破裂するのは時間の問題だ。

  「今夏も変わらず水ようかんや素麺がいくつも届いています。いずれも郵便局が中元時に売り込んでいる定番商品。一人の社員が何個も買わされているのが手にとるようです」
 というのは民営化を機に退職した郵政公社OBのA氏。関東地方の郵便局長で退職したが、現役時代の組合活動が長かっただけに、今も郵便事業、郵便局、ゆうちょ銀行、かんぽ生命4社それぞれの社員と交流がある。そんな現役組から夏には中元、冬には歳暮が届くが、それらはいずれも各シーズンに郵便局がセールスしているものだという。
 「民営化路線は10年以上前から敷かれていましたから、いまの管理職の大半はその路線に乗った連中。要は数字を上げればいいという発想で、公社時代から『1人10個ならそれだけで250万個だ』と職員のケツをたたく課長がいましたが、民営化してノルマ化が進んでいるようです。1人10個はともかく、1個でもノルマ化されていれば社員だけで現在は23万個、これにほぼ同数のパート、アルバイトなど非常勤の人たちがいるから少なくとも50万個近くは社内でさばける。社員は何個も買うというより、買わざるを得ない雰囲気になっているんです」(A氏)
 6月ごろから各郵便局には『特選品』というタイトルのA4版全カラー、300ページもの分厚い中元用カタログが置かれている。無料で配布されているそれには、中元の定番商品から全国各地の特産品などが写真入りで網羅されているが、価格はほぼ3,000~5,000円。およそ50万人の郵政従業員たちは、その売り手であると同時に買い手でもあるということだ。
 しかし、それも妙な話である。民営化するのはガバナンス、コンプライアンスの確立とともに、従来の親方日の丸的非効率性を糾し、生産性を上げることでもあった。そのためか否か民営化後の郵政現場からは、「ノルマ、ノルマで大変」「パワーハラスメントがひどくなる一方」という声が上がっていた。年賀はがき同様、中元や歳暮商品を社員がどれだけ買うか、買わされているかはともかく、郵政は上記のように50万人もの固い消費者=市場を抱えている。安全弁としてそれを折り込んでの事業展開ならいわゆる「タコ足商法」であり、現場を疲弊させるだけ。決して非効率性を糾し、生産性を上げるという本来の趣旨とは異質な発想だ。

(つづく)


恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

※記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


深層WATCH一覧
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル