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公共事業の善悪 田中角栄の時代と福岡7区
社会
2009年8月25日 08:00

 総選挙の投・開票日まで5日となった。自民劣勢が伝えられるなか、福岡7区では公共事業のあり方をめぐり激しい舌戦が続いている。公共事業は善なのか悪なのか・・・?

 福岡7区の自民前職は道路族のドンと呼ばれる。「朧大橋」「有明海沿岸道路」「新幹線駅」などの大型公共事業を実現させ、それぞれの「成果物」に彼自身の名前が冠される。その候補を応援する建設業者に至っては「民主党政権では仕事が減る。何としても勝ってもらわなければいけない」と公然と言い放つ。候補者自身も、街頭演説などで「インフラ整備は未来の子ども達のために必要」「朧橋は命の橋」などと自身の実績を強調する。自民党らしい利益誘導の典型である。
 しかし、福岡7区に莫大な税金投入をもたらし、強固な地盤を誇ってきたはずの大物政治家が、今回の選挙では民主新人との競り合いに追い込まれている。

 戦後の政治史に大きな足跡を残した田中角栄を思う。ロッキード事件で逮捕された直後の1976年の総選挙ではトップ当選。83年、一審で有罪判決を受けた最大の危機には22万票という全国一の得票を得た。当時、新潟の有権者は「田中先生が最大の苦難の時に、お役に立てなければ先祖に申し訳が立たぬ」とまで言い切ったという。角栄氏が選挙戦で窮地に追い込まれることはただの一度もなかったのである。
 雪国・新潟に湯水の如く税金を投入させ、トンネル、道路をはじめとする大型公共事業を実現させた。関越トンネルは雪国と東京を直結させ、雪に閉じ込められてきた越後を大きく変えたと言われる。存命中から今に至るまで、新潟の人たちは角栄氏を神のように慕う。確かに利益誘導の権化だったのだろうが、明らかに他の政治家と違っている。新潟を訪ねて考えたのは、角栄氏が救わんとしたのは、まさに雪国の人たちの「命」であり「暮らし」だったのではないかということだ。雪との戦いに明け暮れた越後の歴史を変えたとも言える。だからこそ新潟の有権者はその恩義に報いようとした。

 福岡7区を歩くと、「沿岸道路で便利になった」「新幹線の駅が出来れば博多に出るのが容易になる」といった声が聞こえてくる。しかし、その後に「でも、道路はもうよかろう」であるとか「そろそろ暮らし優先で税金を使ってもらわんとね」という正直な言葉が吐露される。福岡7区の公共事業が、地域が背負った歴史までを変えているとは思えない。

 公共事業には、明らかに善のものと悪のものとが存在する。命を救い、暮らしを豊かにし、人々に心から感謝される事業もある。これは明らかに善と言えるだろう。
 一方、身の丈を超えた事業は、次代に借金だけを残すという点で悪である。朧大橋はもっと安上がりな鉄橋ではいけなかったのか?有明海沿岸道路は自動車専用道路でなくてもよかったのではないか?そうした思いを抱く人は少なくないだろう。

 田中角栄氏が没して16年。公共事業のあり方が改めて問われている。

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