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広告業界、生き残りの道は?(7)
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2009年9月15日 08:00

ゴールデンタイムのCMは、パチンコと通販ばかり。
考査基準引き下げで、とにかく枠を埋めようとするテレビ局と
この2業種に頼るばかりにクリエイティブ力を失った広告会社

 最近、テレビCMで面白いものをご覧になった記憶がおありだろうか。
 ゴールデンタイムは、パチンコ遊戯台メーカーと通信販売業のCMがやたらと多い。
 以前は、キー局もローカル局も、偉そうに考査基準を楯として、広告できる業種や表現に大きな規制をかけていた。とくに消費者金融やパチンコ関連は、テレビ東京系列の考査基準は甘かったものの、他系列は深夜の限られた時間帯以外にCMを流すことはなかった。
 しかし、最近ではゴールデンタイムに堂々とCMが流されている。消費者金融は金利制限により収益体質が落ち込み、広告出稿が減ったため目立たなくなった。しかし、パチンコは遊戯台メーカーとお店のCMは、非常に増えている。
 職業に貴賎はないけれど、一方で、パチンコの「依存症」が社会問題となっていることは否定できない。多重債務者への転落の原因となったり、駐車場の車内に放置された子供が熱中症で死んだりしているにもかかわらず、メディアが広告というかたちでパチンコを積極的に支援し、パチンコ依存症を広めている今の状況に、テレビ局の経営者や所轄行政機関は疑問を感じていないのだろうか。
 とくに、記者としては、パチンコ遊戯台メーカーの安易な企画に乗って、国民的スターであった美空ひばりを使った遊戯台の商品化を許した版権元と、そのCMを流すことを認めたテレビ局経営者にはクレームを付けたい。
 テレビ局にとっても、大きな存在あり、恩人でもあるひばりさんが、天国の上で自分の肖像や楽曲がパチンコ台に使われて悲しんでいないか。想像してもらいたい。
 広告会社も、もしパチンコ遊戯台メーカーの商品企画を手伝っているなら、もう少し日本の文化を大事にしろ!と言いたい。

 通販広告もこの10年で非常に大きな市場となり、メディアが新しい流通形態を作り上げたことは評価したい。
 しかし、「0120広告」と呼ばれる、パターンの決まった通販の広告では、広告会社のクリエイターたちの力はあまり必要とされなくなっている。
 むしろ通販分野では、ジャパネットたかたのように、個性ある経営者が自ら引っ張ってきた功績が大きい。
 九州・福岡は通販広告企業が集中するが、広告会社のクリエイターにとっては、ほぼ決められたCMパターンのなかでどう目立たせるか、小手先の戦術レベルのことしか期待されない、面白くない仕事と言わざるを得ない。
 広告キャンペーンなど、大きな戦略面から企画参加する機会をどんどん失っている九州のクリエイターたちはかわいそうである。クリエイティブ力の低下した広告会社に対する、クライアントからの期待はますます低下する「悪循環」が起きているのではないだろうか。

(つづく)

【松尾 潤二】


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