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広告業界、生き残りの道は?(9)
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2009年9月17日 08:00

テレビ局のメディア料金も価格破壊の波から逃れられない
それを推し進めた広告会社のみが生き残れるだろう

 では、どうすれば広告業界は立ち直れるのだろうか。
 本レポートの序段で、マスメディアの地盤沈下とともに広告会社の存在基盤が揺らいでいることを指摘してきた。
 90年前後のバブル期、そして小泉政権下のミニバブルを通じて、マスメディアは非常に高い料金設定を打ち出していた。もちろん、需要と供給の原則で高い料金でも買うクライアントがいる限り、その料金体系は許された。
 しかし、インターネットや携帯メディアに、若い世代だけでなく幅広い層の関心が大きく移っている今、マスメディアの料金が相対的に高止まりしていることは間違いない。
 元大手広告会社の社員で、現在は自分で小さな広告会社を経営している方と話をする機会があった。
 最近の不況下でも広告を出したいという企業は常にあり、「テレビ広告を打ちたいのだが」と相談を受けることも度々あるが、広告料金の高さを聞いて諦めるクライアントが多いと言う。
 パチンコ関連の広告を垂れ流すよりも、テレビ局は思い切って料金体系を変更し、今後成長が見込まれる地域の中小企業の広告を受け入れ、地元の活性化を図っていくことが生き残りのひとつの方向だろう。
 広告会社も、絶対的な社会環境の変化を素直に受け入れ、高カロリーなメディアに依存するのではなく、適正価格をテレビ局側に提案し、クライアント側に寄った動きを進めていかなければ生き残りは難しいだろう。
 もちろん、キー局をはじめ高額のメディア料金利権で生きてきた業界は、自らの利権を壊していく勇気は持っていないだろう。
 しかし、長期に政権を担って利権を享受してきた自民党が、時代の波に取り残されて沈没したように、テレビ局も広告会社も自己革新を図っていかなければ、新しいメディアや海外資本に飲み込まれ、再起不能に陥る可能性さえあるだろう。
 ただ、一方でメディアの相対的な地位が低下してきたとは言え、テレビメディアの持つ圧倒的なコンテンツ量が大きな資産であることは間違いない。
 ネットメディアもYouTube(ユーチューブ)など独自のコンテンツを広げているが、ニュース取材体制から、スポーツ、音楽、エンターテイメントまで安定してコンテンツを提供できるのは、これまで資産を積み立ててきた大手メディアが圧倒的に有利である。
 テレビ局による映画への出資、DVD化など他メディアを含むビジネス構築が成功したように、コンテンツが主体となる総合メディア化が収益確保の一つの方向性であることは間違いない。
 広告会社も、上場で得た資金をそうしたメディアコラボレーションに使っているのだろうが、その相乗効果を活かしたクライアントへの商品化は遅れているように思える。
 メディア料金を下げたとしても、テレビ局と広告会社が生き残るためには、面白いコンテンツを視聴者とクライアントにどう高く買ってもらうか、考えるしかないだろう。

(つづく)

【松尾 潤二】


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