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広告業界、生き残りの道は?(10)
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2009年9月18日 08:00

広告会社の皆さん、もっとバカになって面白いことやろうよ!
上場も返上すればいい。

 記者は広告業界で、忙しくて厳しいながらも、楽しい時代を経験させてもらったことを本当に感謝している。
 かつての広告会社には、面白い人物が溢れていた。普段あまり仕事はしないけれど、不思議な人脈で企業のトップとつながっている人、映画や小説の世界のプロになった人、趣味のサーフィンやダイビングを通じて九州が好きになり、そのまま九州に居ついてCMのヒット作を連発したクリエイターなど、思い出してもきりがないほど多彩であった。
 クライアントも、偏差値の高い広告マンよりも発想の面白いクリエイターの「生の言葉」にうまく乗せられ、自由に冒険をさせてもらっていたように思う。
 今は残念ながら、広告会社の人間と会っても面白くない。
 面白い発想の人間が減り、オリジナルの情報を持っていないからだ。
 一流大学卒業の優秀な人材は集まっているのだろうが、管理体制が強くなり、バカなことができる自由な雰囲気は、どんどん失われている。
 その分、企画発想力もこじんまりとまとまったお利口さんの提案ばかりで、クライアントの想定内の「安心物件」となる。
 だいたい、広告会社に入るのがエリートだなんて思い込むのが間違いだと大きな声で言いたい!
 毎年、大学生の就職ランキングで大手広告会社が上位になったり、夏休みの学生のインターンシップの倍率が何百倍になったりというニュースを聞くと、今どきの学生は、広告会社の本当の実態を知らないのだと、かわいそうに思えてくる。
 たしかに、マーケティングなど教科書的な分野では学ぶものはあるのかもしれないが(そのマーケティング理論も、実践ではどこまで役立つか疑問が多い)、クライアントが本来広告会社に求めているのは、効率的なメディア・バイイングと、クライアントの自社にはないアッと思わせる発想力だ。
 その発想力を、今の広告会社にどこまで期待できるだろうか。
 ある広告会社のOBが、しみじみ語っていた。
 「所詮、俺たちは広告屋なんだから、偉くなったと思っちゃいけない。企業様の縁の下で、その企業や商品を愛して、正直に、かつ面白く世の中へ伝えることを考えていくしかないんだよ」
 正直で面白く、謙虚であれば、その人物も企業も、必ず世の中は評価する。
 でもやっぱり、広告会社はまず面白くなきゃ。
 一度、お利口さんの顔を脱ぎ捨てて管理体制を潰せば、広告会社も生き残れるのではないだろうか。
 せっかくの上場だが、もう一度自由になるために、株主さんと話して上場を返上したらどうだろうか。上場して得た資金は、どうせうまく投資に使う経営ノウハウを持っていないのだから。

(つづく)

【松尾 潤二】


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