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広告業界、生き残りの道は?(11)
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2009年10月19日 13:09

せっかくの有名人子弟やスポンサー企業からの
コネ入社社員をどう活かしていくのか。課題は多い

 広告会社には、有名人の子弟やスポンサー企業のコネで入った社員が多い、と言われてきた。
 実際、私が広告会社に在籍していた頃、政財官のトップの子弟やスポーツ界、芸能界の子弟が、まわりにそこそこいたことを思い出す。
 有名なところでは、安倍元首相の奥様・昭恵さんは、森永製菓の一族で電通にいたし、福岡ソフトバンクホークス・王会長の二女・理恵さんは博報堂にいた。
 クライアント企業経営者や宣伝担当取締役の子弟が広告会社に入ることは、悪い表現だが「人質」として、その広告会社へのクライアントからの出稿が保証されるので採用の意味は理解しやすい。
 しかし、スポンサー企業からだけでなく、政治家・秘書の子弟や、高級官僚、法曹界トップの子弟まで受け入れ、日本社会の権力構造のなかでしっかりとつながりを保持していくことも怠っていなかったのは何故だろうか。
 広告会社は、マスメディアの売上が多いけれど、博覧会やワールドカップなど、イベントの運営も売上の重要な部分を占めている。
国際的な博覧会やスポーツイベントは、政府の予算や意向が大きな割合を占め、政治家と官僚の裁量により扱い広告会社が決められることも否定できない事実である。
 そこで、政官のトップとの関係も重要になるし、スポーツイベントで大きな影響力を持つ、その世界でのスーパースターとのつながりも、当然広告会社にとっては重要なことになる。
 さて、今回の総選挙で民主党が勝利を収めたのは、民主党のバックでPRを担当した博報堂の勝利だとも言われている。電通が、自民党との関係が長期に渡って強いものがあっただけに、政権交代は、広告会社の今後の経営にも影響を及ぼすのかもしれない。
 実際の仕事を共にした有名人やスポンサー企業の子弟も多くいたが、その能力も千差万別で、正直よくこんな人材を採用したな、と疑問符がつく人物もいたが、仕事もでき、性格も素晴らしい人物もいた。
 ある中堅企業経営者の息子が同じ部門にいて、入社してきた時はあまり器用ではなく心配していたが、まじめによく働いて、担当クライアントからも信頼を得られるようになっていた。
 企業の後継者を育成する場として、広告会社はマーケティングをはじめいろいろな業界の仕事を実践の場で体験することができる。「他人の釜の飯を食う」ことも経験できるので、企業経営者側にとってはいいことかもしれない。
 しかし、受け入れた広告会社の方は、今後、それぞれの分野に深いつながりを持ったせっかくの人材を活かす戦略があるのだろうか。
 社員の専門分野を特化させた方が、その広告会社のユニークな競争力になることは間違いないのだが、残念ながらまだその積極的な取り組みは聞いていない。

(つづく)

【松尾 潤二】


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