ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

業界を読む

広告業界、生き残りの道は?(12)
業界を読む
2009年10月20日 08:00

日本の広告会社は、国際市場に活路を見出せるか?

 一見華やかで時代の先端を行っているように思われる広告会社ではあるが、他の産業と比べて、事業の国際化では遅れていると言える。
 下記のとおり、主要3社の海外売上比率は10%以下で、広告業がいかに国内の市場に頼っているかが分る。

主要広告会社の海外売上比率

 そのなかで電通は、積極的に海外の広告会社を買収してきた成果で、海外の売上が約1,800億円、営業利益が約40億円と、全体のなかでそれなりの割合を占めている。しかし博報堂の場合は、売上こそ約354億円あるが、営業利益はわずか3億5,200万円と全体の営業利益のなかで2.3%でしかない。
 アサツーディ・ケイの場合は、中国やアジアへの進出に比較的早く取組んでいたため、博報堂よりも海外売上比率が高いが、それでも6.2%である。
 日本の基幹産業である自動車や家電産業が海外での売上が大きな割合を占め、そうした広告主の国際競争力が優れているのと比べると、いかに日本の広告業界の国際化が遅れ、海外での競争力がないのかが分る。
 広告会社を希望する学生のなかで、あの会社に入るためには英語のTOEICで700点以上なければ駄目だなどと囁かれている割には、広告会社のなかで国際部門のウエイトは低く、残念ながら在籍する社員への評価も低い。
 記者の自論であるが、日本のメディアと広告会社は、狭い日本の権益のなかでぬくぬくと守られ、内弁慶で国際競争力には全く欠けている。
 メディアの例で言うと、海外出張中、テレビのチャネルを回しても、CNNやBBCの充実ぶりと比較して、NHKの国際放送は日本人以外はほとんど見る人がいないであろう。ましてや、それ以外のテレビも新聞も国際的な情報発信力は全く備えていない。
 同じように日本の広告会社も、日本企業の海外での広告は担当することがあっても、その国の地元企業や国際的企業の扱いを得ることは、あってもわずかで、ほとんどないのが現実だ。
 日本人の、外国語でのコミュニケーション能力不足の問題が大きな原因のひとつであるが、広告会社の経営陣に海外市場での成功体験者が少なく、長期的に本気で国際競争力をつけるための投資を行なう経営方針を持っていないことが、もう一つの大きな理由であろう。
 日本の広告会社が、国際的な市場に活路を見つけ出すのは、まだ遠い先のようだ。
(だから、外国語ができるので海外で活躍を!と期待して入社した社員は裏切られてしまうし、人事の採用方針で英語ができる人材を採っても、日本の常識に欠けて逆に職場での適応に問題のある社員を生むことになっている)

(つづく)

【松尾 潤二】


*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

業界を読む一覧
業界を読む
2011年6月14日 14:31
業界を読む
2010年11月 4日 13:45
業界を読む
2010年3月25日 11:00
業界を読む
2010年3月24日 15:48
業界を読む
2009年10月23日 08:00
業界を読む
2009年10月22日 08:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル