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広告業界、生き残りの道は?(14)
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2009年10月22日 08:00

クライアント側に問題はないか?契約概念が薄く、
双方の責任が明文化されていない広告作業が、
日本の広告の進歩を遅らせている

 ここまで広告会社の問題点を多く取上げてきたが、広告を出す側のクライアントに問題はないだろうか。
 クライアント側では、日本アドバタイザーズ協会(旧・日本広告主協会)という団体があり、調査研究、広告倫理、広告取引の適正化、広告コンクールなどを行なっている。また、広告会社側に対するパートナーでもあり、圧力団体にもなっている。
 これまでもクライアントと広告会社の間で、業界健全化のため多くの取り組みがなされてきたと思うが、記者としては敢えて、クライアント側にも問題提起を行ないたい。
 問題とは、日本の広告の現場では契約概念が薄く、発注者側の責任が極めて曖昧だという点である。
 例えば、数億円規模のテレビスポットの発注でも、きちんとした契約書がないまま作業が進められることが多かった(最近は国税がうるさくなって正常化されているのではないかと思うが)。
 広告会社へのオリエンテーションも曖昧で、広告に何を求めるのか、社内の方向性が絞られていないことが多々ある。広告主はまず自社の方針を内部でしっかり議論し、固めていく責任がある。
 海外の広告ビジネスでは契約の概念がはっきりしているので、クライアントと広告会社の間で必ずコンタクトレポートを作成し、発注内容やそれぞれの作業経過が明文化される。また、レポート作成のたびに双方のサインが求められるので、お互いの責任がいつでも明快である。
 日本のビジネスの特徴である「曖昧さ」が、とくに広告の現場ではいまだに時代遅れの存在として温存されており、クライアント、広告会社両者の成長を妨げている。
 クライアント内部の問題を外に出すことははばかられるのかもしれないが、例えば商品の機能に競争力が欠けたり、流通が弱かったり、社内の部門間の対立があったりしても、そうした課題を理解した上で広告戦略を練り上げた方が、うまくいくケースが多い。
 内部の問題をさらけ出しても作業のできる、お互いに信頼できる広告会社を見つけ出すことが、クライアントとして費用のかかる広告投資を成功させる第一歩であろう。
 広告作業の責任を明確にしていくことは大変だが、それはクライアント社内の人材育成を促進するし、広告会社に対してもさらに高度な要求ができるようになる。

(つづく)

【松尾 潤二】


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