「監査」のあり方が問われることになった。
　福岡市総務企画局国際部アジア文化賞担当課の海外出張をめぐる数々の不適切な公文書の存在は、チェック機能としての「監査」が役割を果たしていなかったことを意味する。復命書の不存在、決済印のない旅行命令書、旅費の計算間違い・・・。どれも一目瞭然。公費支出自体が不適切だったことは明らかだ。しかし、データマックス取材班が情報公開請求し、海外出張に関する公文書を精査、問題点を追及するまで何一つ是正されないままになっていた。まじめに「監査」が行われたとは思えない。

「福岡アジア文化賞委員会」内部監査のお粗末

　アジア文化賞担当課の海外出張に関しては、同賞の運営母体であり、官・民の委員で構成する「福岡アジア文化賞委員会」の監査委員２名（民間側１名、市側１名）が毎年、内部監査を行っており、監査意見書が残されている。だが、この監査で問題が指摘された形跡はない。何もチェックしていないということだ。お手盛り出張が税金を食いつぶしていることに、歴代の監査役は責任を感じるべきだろう。

「市監査事務局」のお粗末

　さらに今年５月には、福岡市監査事務局による監査も行われているが、この時も不適切な公費支出や不完全な公文書の全てを見逃している。市監査事務局側も一連の問題文書について、監査漏れであったことを認めているが、２桁にのぼる不適切文書がある以上「膨大な資料を少ない人数で調べるから見落とすこともある」といった言い訳は通用しない。役人同士の馴れ合いで見逃したのなら言語道断であり、市の監査がおざなりのものだった可能性が浮上している

文書は存在したか？

　新たに見つかった08年７月の香港－広州市間の出張については、決済印も領収印もない上、旅費計算を間違えて支出されていた。ありえない話だ。こんな不完全な文書を見落とすことは考えられない。そこから導き出されるのは、２度の監査時にこの文書が存在しなかったという結論だ。その点についてさらに検証してみたい。

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（つづく）

【市政取材班】

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