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中洲バトルロワイヤル2010(2)~便乗、攘夷、おらが町

[特別取材]

 2010年の中洲飲み始めは、「洋式便所水槽タンクへの頭突き」という華々しい戦果を上げた。言わば、南蛮渡来の器物に対する攘夷を決行したのである。その時、タンクの上にあった何かが割れた。
 恥ずかしながら、したたかに酔っていたため覚えていないのだ。

 それは1月11日のことだった。その日、巷には成人式を迎えた若者があふれ、合法的に酒が飲めるとおおはしゃぎをしていた。それに便乗しようと中洲へ繰り出したわけであるが、訪れたスナックは静かなもの。他の常連客と語り合いながら、静かに焼酎を飲むこととなった。閉店までに訪れた客は、小生を含めたったの4人である。
 「酒が飲める」と連呼する歌詞が印象的な『日本全国酒飲み音頭』も、今のご時世では通用しないのだろうか。何かにつけて積極的に酒を飲みに行くといった風習は、お父さんのお小遣いが減っていくにつれて廃れてしまっているようだ。
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 さて、同曲には「4月は花見で」酒が飲める、とある。中洲では現在、メインストリートである中洲大通りに桜並木を植えようという計画が進んでいるという。先日、中洲連合会会長とお話をする機会があり、小生が知るところとなった。年末の記事で少し触れたが、同会は中洲の観光事業や町の美化に取り組んでいる。桜並木計画は、「中洲の町興しの一環」だという。

 同会長によると、「花見を兼ねて酒を飲みに来るお客さんが増えて欲しい。花が散った後も、イルミネーションに使えます」とのこと。また、この桜の木を寄贈した人の名前をプレートか何かで表示する構想もあるという。実現すれば、沈みがちな雰囲気もパッと明るくなるだろう。しかし、ひとつ心配事がある。店の先行きが見えない不景気の折、町の景観のために金を出す経営者がいるのだろうか?

 そんな素朴な疑問をぶつけてみたところ、「中洲にはそれができる」と、同会長は豪語した。「中洲っ子は、山笠もあって町としての団結力が強かとです。町の発展が、店の儲けにつながるとみなさん思っていますから」。
 そう言われて、ハッとした。確かに中洲を取材したときに、昔から中洲で商売をしている店に行くと、「中洲は不景気になった」、「最近の中洲は客が減った」という話し方をしていた。たいていの場合、主語は、“ウチの店”ではなく“中洲”なのである。町のことを考える、という意識が強いのだ。

 冒頭の事件の時もそうだった。酒のせいとはいえ、店の物を壊した以上、謝らなければならない。飲み代を支払う際、弁償を申し出た。
「頭にコブば作ったとやし、そげんことはせんでよかって。また中洲に飲みに来てくれたらよかけん」。
 やはり“ウチの店に”ではなく、“中洲に”なのである。

(つづく)

長丘 萬月(ながおか まんげつ)
 1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。


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