＜支払いよりも身なりを優先＞

　名誉欲とは自らの社会的地位を高めることへの欲望を指す。“人によく見られたい”、“目立ちたい”といった単純な思考による。中村誠院長夫妻の「名誉欲」はテレビ、ラジオへの出演や、フリーペーパーなどの情報誌への広告掲載につながった。さらに夫妻は、車や服装、小物など自身を演出するものには大きくお金をかけていたという。

　「スーツはお子様の分までオーダーメイド、奥様もブランドものばかりを身につけていました。車も夫婦それぞれドイツ製の高級セダンやワゴン、スポーツカーを乗り回し、海の見えるタワーマンションの20階に住む。しかし、開業当初から私たちへの支払いは平気で滞り、それらの派手な生活を隠すため、『思ったほど売り上げが上がらないから支払えない』などと言っていたのです」。そう語るのは同クリニックの債権者Ａさん。取引先への支払いよりも自分たちの見栄を優先していたことになる。
　Ａさんはさらに「支払いが滞っていたら、まず自分たちの生活レベルを下げて謙虚になるでしょう。謙虚になるどころか債権者の見えないところで派手で豪華な生活を営んでいたのです。このような詐欺的行為は理解できません。売り上げが上がらなかったのではなく、自分たちの派手な生活レベルを維持するだけの売り上げが上がっていなかったという事なのです」と語る。

　多くのメディアに広告を掲載するため、莫大な費用がかかったのは言うまでもないがその分、新規顧客も増えていたはずだ。先月末の同クリニック破綻の第一報後、治療を受けていた患者さんから電話があった。「突然連絡が取れなくなりました。今後、私たちはどうしたらいいのでしょうか…」病院で最も大切にしなければならないのは患者である。しかし、広告の中の笑顔の中村誠、優子夫妻はそのキャッチコピーとは裏腹に、ニーズ歯科を頼りにしていた患者をないがしろにした。他のクリニックに転院、紹介する措置は取れなかったのか？いずれにせよこの行為は許されるものではない。

（つづく）

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