資格士ビジネスの受難(後)
<税務署OBへの無試験資格授与の廃止の提言>
税理士の資格を得るために民間人は必死の覚悟で受験に挑む。ところが税務署の職員にはフリーパス(勤務年数の制限はある)で資格が授与される。もうそろそろこの特典を廃止したらどうだろうか。お上としては税務署OBを企業に対して忠実に納税させる指導役として活用する目的があったのだろう。だから税理士資格を与えた。脱税・節税ストッパーのスパイ役として放し飼いにしていたのである。
だが、当世の複雑な経済活動の時代になってもともとレベルの低かった税務署OBの税理士はクライアントのニーズに応えられなくなってきた。単なる税務申告処理だけの役回りだけでは済まされなくなってきたのだ。
滑稽な話がある。「わたしゃあ、税務署OBよ。税金交渉は任しなさい」という売り込みの言葉を信じて、ある企業がお抱え税理士に迎えた。私は、その企業の規模からいって「果たして税理士程度で良いのだろうか」という疑問を抱いていた。
その企業のオーナーが、消費税の脱税で逮捕された。税務署OBの税理士も同時に連座逮捕となった。しかし、税理士は不起訴になった。検察側は脱税捜査の供述をさせることがねらいでその税理士を逮捕したのである。そこまで固められれば、オーナーも言い逃れができない。すぐに起訴され法定での争いもできないまま判決が下りた。会社社長はぼやく。「税務署OBということであったから安心して言われるままに対応したのが間違いであった」と。
税理士協会でも「シャキッ」と発言をしたらいかがかな。「税理士資格の信用をあげるには平等な試験制度を導入しろ!」と、提案することだ。お上にペコペコすることもなかろう。能の無い税務署OBの税理士、そのチョンボは今後、ますます増えてくる。
「税理士業そのものが誰の為に貢献しなければならないのか」という原点に立ち帰って頂きたい。企業の透明な税務指導、そして財務・資金に関する経営指導をなすのが税理士の役割だ。無試験資格者は放逐すべきではない。その位の覚悟・変身をなさなければ税理士業界自身は沈没する。実際、弊社の中小企業クラスでも公認会計士と契約している。言わんとすることは理解できるだろう。
<他業専門業種でも同じ>
公認会計士の合格枠も拡大された。新米資格者が簡単に活躍できる領域は狭くなってきている。ある100億円企業を訪問した。取材相手から貰った名刺は「経営室長・公認会計士」という肩書になっていた。そこで、取材の合間に経緯を聞いた。「この会社の社長と大学の同窓であることと、一時、上場を目指していたことで会社に席を置いた」という。
この経営室長に言わせると「公認会計士の数が増大するにつれて企業に就職するケースも増える」そうだ。税理士も大変だが、公認会計士もすべてがバラ色というわけにはいかないようだ。
司法書士の世界では、常識のように「もう登記だけでは飯は食えない」と言われている。会社設立登記、不動産登記だけでは事務所の維持は覚束ないそうだ。そのため、生きる道として、法廷領域に活路を見いだすこと、レベルを数段あげることが強いられるのである。そういえば多重債務者を食い物した悪徳同業者が多数いたようだ。
(了)
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