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政界インサイドレポート

5月末に民主党"反小沢クーデター"勃発 小沢辞任で民主党は蘇るのか(下)
政界インサイドレポート
2010年5月 8日 08:00

◆小沢再捜査に走る検察の事情
  
 鳩山政権がなぜ、発足から短期間でここまで追い込まれたのか。

 政策の転換には、それを押し戻そうとする霞ヶ関の巨大な慣性力が働く。普天間問題では、鳩山首相は首尾一貫して、「県外、できれば国外」に移転すると言って来たが、まとめ役である平野官房長官、岡田克也・外相、北沢俊美・防衛相の担当3大臣がバラバラに案を練り、動いたことでいたずらに時間がかかり、事態が一層こじれた。
 理由は簡単である。本来、総理の方針に沿って動かなければならない防衛省と外務省の事務方が、小泉政権時代に両省が決定した「辺野古沿岸案」に戻すために、サボタージュしたからだ。

「外務省も防衛省も政治主導を掲げる大臣たちに好きにやらせながら、面従腹背で米国には『全部の案を蹴っていれば最後は元に戻る』とささやいていた。そのため総理や平野長官は最後は役人に『知恵を出せ』と泣きつき、当初案の微修正でお茶を濁すしかなくなった。素人同然の大臣たちなど、赤子の手をひねるようなものでしょう」(首相官邸スタッフ)。

 総理や大臣の力量不足と言ってしまえばそれまでだが、官僚を動かすには良くも悪くも「権力」が必要なのだ。普天間問題では首相官邸がすべて取り仕切り、権力者の小沢幹事長がにらみを利かせなかったことが官僚のサボタージュを成功させたという側面があることは否定できない。

 官僚が民主党政権を手玉に取るには、「権力」を空洞化させることが一番都合がいい。つまり、小沢失脚である。東京地検特捜部が執拗に小沢氏への捜査を続けるのも、そう見るとわかりやすい構図だろう。実は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の政治資金事件で特捜部が今年2月に小沢氏本人の「不起訴」の方針を決めた後も、検察側はあきらめていなかった。

 最高検はその直後の3月1日付けで最高検検事の大鶴基成氏を東京地検次席検事に異動させた。大鶴氏は元特捜部長で陸山会事件では最高検の東京担当として佐久間達哉・現特捜部長を指揮して捜査を主導した人物であり、着任後は特捜部長時代の部下を集めて水面下で小沢氏周辺の捜査を継続させていた。そこに検察審査会の「起訴相当」の議決がでたことで、再捜査の大儀名分を得た形となった。

 検察は3ヶ月後の7月末までに改めて小沢氏を起訴するかどうかの結論を出すが、実際にはそんなに時間の余裕はない。今年6月中旬には検察首脳人事が行われ、樋渡利秋・検事総長が退任して後任には大林宏・東京高検検事長が就任することが固まっている。それを受けて佐久間特捜部長らも交代すると見られており、"小沢氏起訴"に持ち込む場合、タイムリミットは6月だ。小沢VS特捜部の戦いはこの6月に最終段階に入るとみていい。しかも、それを過ぎると検察には不利な材料が重なる。

検察特捜部による陸山会事務所の家宅捜査(2009.3.3) 検察は陸山会事件の前に、昨年3月には東京地検が西松建設事件で小沢氏の公設秘書だった大久保隆規・被告を逮捕し、6月には大阪地検が当時の民主党副代表・石井一参院議員の口利きで身体障害者団体の偽の証明書を発行したという事件で厚生労働省の村木厚子・元局長を逮捕した。

 総選挙前に民主党の代表と副代表がからんだ事件を摘発したことで検察は、「政権交代をつぶすための政治的捜査ではないか」との批判をあびたが、その後の両事件の公判で、証人が次々に供述を翻して捜査を批判するなど、検察は不利な立場に立たされている。とくに厚労省の女性元局長の公判では、石井は関与しておらず、事件そのものが大阪地検特捜部の"でっちあげ"による冤罪だった可能性が強まっている。その判決は7月に予定されており、無罪判決が出ると検察の一連の捜査がやっぱり政治的なものだったと大きな批判を浴びるのは間違いない。

「陸山会事件では特捜部は小沢氏を立件するための証拠が足りず、起訴しても公判維持は難しいと判断された。それは今も変わらないが、一連の判決前に小沢氏が辞任に追い込まれれば、特捜部はたとえ小沢氏を起訴できなくても政治的に勝利できる」(検察OB)。

 検察側も民主党内の"反小沢クーデター"を期待するという本末転倒ぶりだ。
 
 まさに国民不在の政争ではないか。

(了)
【千早 正成】

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