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危うい観光特区構想 中国人客誘致を図る九州と北海道(上)
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2010年10月27日 16:02

 東京・銀座や秋葉原はもとより、いまや全国規模へ広がりつつあるのが中国人観光客。観光業界や商業界は彼らの取り込みにアノ手コノ手だが、特区構想を打ち上げたのが九州と北海道。南北両地域ともにセールスポイントは温泉やスキーなどの観光とレジャー。中国資本による日本の森林買収が問題視されるなか、観光客誘致は別とも見えるが北海道のそれには?マークがつく。

<総合特区制度創設>

 政府は今年6月、「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ~」と謳う「総合特区制度」創設を打ち出した。来年度の導入に先立ち、どのようなアイデアが提案されるか。その事前テストとして7月から9月まで、自治体や法人、NPOからのアイデアを募集した。集まったのは「271団体、453件」(内閣官房地域活性化統合事務局)という。
 今月末をメドに概略を公表すべく検討中で、まだ提案者とその中味の詳細は不明だが、中国人観光客をターゲットにした特区構想を提案しているのが九州観光推進機構と北海道観光振興機構。前者は九州7県と民間企業による任意団体で会長は石原進JR九州会長。後者は社団法人で会長が坂本眞一JR北海道会長。
 九州は中国の直近という地の利を生かして先行していたが、このところ中国人客が急増しているのが北海道。(社)日本観光協会九州支部によれば、九州7県への中国人客は2008年が7万2,000人、09年が8万人。ところが北海道は道庁経済部のデータでは07年の2万7,000人が08年に4万7,000人、そして09年には9万2,000人と倍々ゲームで伸びている。これに香港12万7,000人も「中国」枠に加えれば、台湾の18万人、韓国の13万5,000人をはるかに凌駕する。

<九州と北海道の相違>

 九州、北海道ともに増え続ける中国人客の取り込みを図ろうというわけだが、問題は両団体の提案内容だ。
 それというのも、これまでの報道では、両者ともに「ノービザでの入国を認める」とか、「北海道では中国の運転免許をそのまま認める」など、首を傾げたくなる提案がなされているからだ。いかに金持ち中国人が増えたとはいえ、その背後には膨大な貧しい中国人が存在する。ツアーに潜り込み、そのまま日本国内で消える「観光客」が出ない方が不思議というものだ。
 両団体に提案内容を確認すると、明確に否定するのは「九州アジア観光戦略特区」を提案した九州観光推進機構。
 「『ノービザ』のイメージが先行したのは、一部メディアが見出しに『ビザなし入国』と謳ったからです。正確には『一度来た人が年内にまた来る』という。いわゆるリピーターであれば、『ビザの申請手続きを簡略化』してあげようということで、けっしてビザなしというわけではありません」と言う。
 一方、「北海道観光インバウンド(訪日客)特区」を提案した北海道観光振興機構は、「ノービザ」も中国運転免許の道内通用も認めてこう言う。
 「ビザについては、14日以内の短期ならビザなしでの入国もOKに。また、北京や上海など日本と交通事情が近い大都市の免許保有者なら、道内での運転を認めましょう、ということです」。
 同機構はほかに道内ホテルや旅館の受付や案内役として、就労ビザの緩和も提案している。地域経済が国内でも最悪視される北海道が、観光客、とりわけ急増する中国人の取り込みに熱心になるのもわかる。しかし、中国にこれだけ開放的になるのは、彼ら観光客が落とすカネのためだけなのか。

(つづく)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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