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上海最先端レポート

アメリカの悲願=人民元切り上げ(下)~日本人が知らない中国事情(76)
上海最先端レポート
2010年11月11日 17:00
劉 剛

<アメリカのやり方>

 一昨年の金融危機から脱出するために、アメリカでは非常に緩和された通貨政策が取られ、経済は緩やかな回復を見せていきそうです。しかし経済情勢が、上がったり、下がったりという不安定な状態が、不安定な民衆心理と政権運営を招いているという厳しい現実があります。
経済を向上させ、雇用を増やすのに、国内製造業の振興は欠かせません。しかし、見渡せば、国内市場に廉価な外国製品ばかり。「made in U.S.A」に競争力はありません。「made in CHINA」で溢れています。

mada in china その時、アメリカは思いつきました。もし、人民元が大幅な切り上げになれば、「made in CHINA」が「廉価」にならず、国内の消費者が「made in U.S.A」を選ばざるを得ない。同時に、アメリカから中国へ輸出が増え、国内の雇用も必ず増加するだろうと。あるいは、人民元の切り上げは、アメリカの国内問題解決に大いに役立つ。そういう明るい未来を専門家が描いたのです。しかし、「made in CHINA」がなくても、「made in Vietnam」や「made in Cambodia」などはどうなるのでしょうか。

 2009年11月、オバマ大統領が訪中した際、中国製品に対する貿易規制が相次ぎに行なわれました。これは、人民元の切り上げへ圧力をかける意図でした。
 10年3月15日に、アメリカ国会議員130人が連名して人民元の切り上げを要求しました。9月29日、「為替レート改革 公平な貿易を促進」という法案が可決されました。同法案は、中国など通貨が低く設定されている国家に特別関税を徴収するとの内容のようです。

 しかし、一旦中国政府が為替レート改革を行ない、人民元切り上げに踏み切れば、アメリカが別の手口でそれを阻止するようです。表に振られている「為替レート」という旗が実際はトリック・アートのようなもので、「トロンプ・ルイユ(眼を騙す)」という手法に過ぎないかもしれません。その裏には、もっと巨大な利益を獲得する計画があるような気がします。

 ちなみに、トリック・アートとは遠近法・照明・緻密に計算された描写などを駆使した超リアリズム芸術で、平面に書かれた絵がまるで立体に存在するように見えたり、ひとつの絵がある角度ではまるで別の絵になったり、と様々なものがあります。

(了)

劉剛氏【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。


▼関連リンク
アメリカの悲願=人民元切り上げ(上)~日本人が知らない中国事情(75)


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