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政界インサイドレポート

民主党分裂、岐路に立つ日本政治(4)~政界インサイド・スペシャル
政界インサイドレポート
2010年12月16日 08:00

<「大連立」は政治の後退>

 現在、政界は事実上、「民主党反小沢派」「民主党親小沢派」「自民党」に大きく3つに割れている。
 前述のように、2011年は菅政権が通常国会で間違いなく総辞職か解散・総選挙へと追い詰められる。総辞職の場合、後継首相を決める代表選は反小沢派が担ぐ前原誠司・外相と、原口一博・元総務相など親小沢派の候補の対立となり、どちらが勝っても民主党は分裂に向かい、国会での首班指名でいきなり自民党など野党を巻き込んだ政界再編が起きる可能性がある。
 自民党と民主党反小沢派の大連立の可能性が高いのは、このとき、「前原救国政権」ができるケースだろう。
 あるいは菅首相が総辞職しないで「消費税増税」を掲げて小泉郵政解散のように党内の反対派を除名し、党分裂させて破れかぶれの解散・総選挙を打つケースもありうる。その場合も、総選挙後の政界再編はさけられない。

国会議事堂 しかし、細川連立内閣以後の17年間、日本の政治は政党が離合集散を繰り広げる長い再編の時代が続いた。衆参で過半数を得た政党はなく、政策的妥協が必要な連立内閣では長期的な視野に立って思い切った政策は打てない。その間、社会も経済も活力を失った。
 たとえば、この国が迫られている財政危機と年金など社会保障の行き詰まりの最大の原因は少子化にある。人口が増え続ける時代につくられたシステムは、少子化社会になれば機能不全に陥るのは当然だ。これを食い止めなければ、どれだけ増税しても安定した社会保障や財政制度はできない。先に増税を議論するのは本末転倒なのである。それなのに、政治は与野党ともに、行政の無駄遣いを批判するだけで、長期的展望に立って肝心の少子化をどう食い止めるかという真剣な議論はなく、有効な対策を何ひとつ取ってこなかった。「失われた20年」の原因は政権が不安定だったことによる。
 民主党も自民党も期待が持てない今、政界再編といえば一見、聞こえはいいが、17年前の合従連衡の政治状況に逆戻りするだけである。ましてや、「大連立」は第2自民党ともいえる超安定政権ができるかもしれないが、それはせっかく実現した2代政党政治をつぶし、国民の政権選択の機会を奪うことになる。

 どんなに矛盾や内部対立があろうと、安直な政界再編に走るのではなく、民主党の政治家は現状を反省して分裂をさける努力をし、自民党は早く体質改革を行なって国民の信頼を回復し、民主党政権にかわる受け皿をつくる。それが1年前の「政権交代」という政治の大きな変化を生かす道ではないか。

(了)
【千早 正成】


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