NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

行政

市民を主役にした情報公開~福岡市・行政改革の実態(10)
行政
2011年1月24日 07:00

 新しい情報公開条例は、平成13年12月の情報公開審査会の答申内容に基づいた条例案を平成14年の当初議会に提案して可決され、同年7月から施行されました。
 この新しい条例の主な特徴は、「市民を主役にした制度設計」つまり「利用者の視点」を最重要に考えており、具体的には、次の4点が挙げられます。

(1)スピーディーな情報公開 → 決定期間の短縮
(2)分かりやすい情報公開 → 市民に分かりやすい情報公開
(3)請求される前の情報公開 → 積極的な情報公表・情報提供の充実
(4)市民の知る権利の拡大強化 → 第三セクターや補助金団体などの情報公開の推進

<スピーディーな情報公開>
 情報公開請求に対し、市が公開・非公開を決定する期間を、原則として7営業日と定めました。(条例第12条第1項及び第3項)。全国一のスピーディーな対応です。なお、国は休日を含めて30日以内です。他の政令市では休日を含めて14日以内というところが多いようです。ちなみアメリカのFOIA(情報自由法)では20営業日となっています。

<分かりやすい情報公開>
 「お役所言葉」と批判を受けることがありますが、「行政」に関する言葉は専門用語が多く、公開された情報が市民にとっては分かりにくいという場合や、市民の要望に必ずしも沿わないという場合などは、情報公開制度が持つ説明責任や市民監視の機能が有効に働かないことになります。そこで、そのような弊害を除去するため、公開請求により求められた情報(公文書)を市が保有していない場合や、公開された決裁文書などが複雑・難解な場合は、請求者からの要望に応じて、市は分かりやすい情報を提供するよう努めなければならないことと規定しました(条例第11条第3項及び第17条第3項)。
 また、積極的な情報公表・情報提供に際しても、「正確で分かりやすい情報」を市民に伝えることを市の責務としました(条例第35条)。

<請求される前の情報公開>
福岡市役所 請求されてから公開するという従来型の情報公開のあり方を脱却し、市の側から積極的に情報を公表・情報提供していくことによって、市民と市役所との間で情報の共有化を図ることを目指しています。
 まず、政令市で初めて、「市民の監視と参加」のために有用と思われる情報について、条例において具体的に列記し、これらを公表することを義務付けました。(条例第36条第2項)。
 さらに、やはり政令市で初めて、市政全体または各行政分野における基本的方針や計画の中間段階の案を公表義務情報として定め、これらを公表する場合には、広く市民の意見を求め、市はこれに応答するよう努めなければならないと規定し、パブリック・コメント手続の根拠規定を定めました(条例第36条第3項)。
 また、各種審議会などの市の附属機関等の会議を原則公開とする規定も盛り込みました(条例第38条)。

(つづく)
【寺島 浩幸】

≪ 第9回「情報公開度日本一への挑戦」 | 第11回「地方三公社の情報公開」 ≫

<プロフィール>
寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制
係長などを歴任し、2010年8月に退職。在職中は、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援

▼関連リンク
寺島氏ブログ
・ツイッターは、コチラ


*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


行政一覧
東日本大震災
2011年8月 3日 07:00
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル