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行政

公務員のDNA=閉鎖的な組織風土~福岡市・行政改革の実態(5)
行政
2011年1月17日 08:00

 これまで述べてきたように、行政改革が難しいとする要因のひとつに、行政組織の閉鎖性があげられます。

 内向きの文化を持つ公務員の組織の頂点に立ち、自らの公約やビジョンを実現させ、行政改革をしていくためには、自治体のトップに強い精神力が要求されます。市民や支援者、マスコミなど外部の人たちを味方にしていかなくてはならないでしょう。そのためには、やはり徹底して情報公開を行ない、副市長や要となるポストに信頼できる外部の人物を入れて、閉鎖的な組織風土に風穴を開けることが必要になります。
 また、市職員のなかには、情報公開や行政改革に後ろ向きな者だけではなく、真剣に進めていこうと取り組んでいる心ある職員もいます。トップがまず、その覚悟と決意を示すことができれば、改革マインドを有する心ある市職員を糾合し、改革への気運を高めていくことが可能となります。そして、そのうねりが高まれば、組織風土そのものの改革も可能になってきます。

 福岡市役所では、平成12年4月から『DNA運動』が展開されました。この運動は、職員一人ひとりの想いに光をあてることにより、行政組織の閉鎖性を打ち破り、組織のDNAを変革していこうとするものであり、日本中の自治体に影響を与えたと言っても過言ではありません。
DNA DNA運動が誕生した経緯は、「行政運営に民間の経営手法を導入する」という市長公約を実現するために、当時の山崎広太郎市長が、当選した翌年の平成11年8月に企業経営者、経営コンサルタントなど有識者7人からなる経営管理員会を設置したことから始まります。
 経営管理員会では、市役所の幹部インタビュー、市職員インタビュー、市民インタビューを実施した結果、市役所の幹部と市職員および市民が感じている問題意識は一致しており、「問題なのは、分かっていても課題を解決できないことこそが問題である」という認識に至りました。そして市職員主体の運動により、市役所の組織の「遺伝子(気風、文化、制度=DNA)を変え、その体質そのものを変革することを目指すことを提言したのです。

 これに基づき、『DNA運動』が、すべての市職員が自らの仕事の価値や意味を認識し、課題を見つけ自ら解決に取り組む運動として誕生しました。その基本精神は「D(できる)から始めよう。N(納得できる)仕事をしよう。A(遊び心)を忘れずに」というものでした。

(つづく)

【寺島 浩幸】

≪ 第4回 「大半を墨塗り、結論だけの情報公開」 | 第6回 「DNA運動の拡大と終焉」

<プロフィール>
寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制
係長などを歴任し、2010年8月に退職。在職中は、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援

▼関連リンク
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・ツイッターは、コチラ


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