NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

政治

1千年に1度の国難、克服へ(5)~供給不足に陥るウラン
政治
2011年3月26日 07:00

 一方、わが国の電力供給システムを考える時、原子力の問題点を総点検しておくべきであろう。今回の福島原発での事故を受け、ウランの価格が急上昇を続けている。すでに国際市場では70%を超える価格の上昇が見られる。市場の反応の素早さもさることながら、われわれは市場に翻弄される危険性の高さをどれだけ認識してきたのであろうか。

 実際のところ、1980年代の後半以降、ウランの採掘は厳しい状況に置かれている。需要と供給のバランスから見ても、現状のウラン鉱山からの産出量では需要の70%を満たすのが精一杯という状況だ。不足分の30%は使用済み核燃料の再利用と核兵器からの回収によって賄われている。

核廃棄物 問題は、旧ソ連製を含む廃棄処分となった核兵器からのウランの回収作業が、すでに頭打ちとなり始めていることである。このままではウランの需要を満たすことができなくなるのは火を見るより明らかであろう。国際原子力協会によれば、2015年までに5日に1基の割合で新たな原子炉が稼働することになっている。要は、需要は増える一方なのである。

 アメリカや日本などクリーンエネルギー源として原子力開発に取り組んできた国々に加えて、近年では発展途上国の間でも原子力発電に依存するケースが出始めていた。石油や石炭に比べれば、原子力は二酸化炭素を排出することはなく、地球環境には優しいと言われている。

 そのため、中国やインドといった新興国の間でも原子力発電が急速に広まりつつある。すでに中国では13カ所の原子力発電所が稼働している。昨年だけでも、新たに34の原発を建設する許可が下りているほど。また、インドにおいては今後10年間で原子力発電能力を4倍にまで拡大する計画といわれる。まさに「原子力ルネッサンス時代」と呼ばれているわけだ。

 日本でも今回の事故が発生する前には、新たに14カ所の原発が計画されていた。ロシアでも2015年までに16カ所の原発を予定している。アメリカにおいても、現在104基の原発が稼働中であるが、スリーマイル島の原発事故以来、新たな原発は凍結されていた。しかし、新たなエネルギー需要に押されて、24の新たな原発建設の予定のゴーサインが出たところであった。原発推進に舵を切った矢先のオバマ政権にとっては悩ましい事態となったに違いない。

(つづく)

【浜田 和幸】

≪(4) | (6) ≫

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


*記事へのご意見はこちら


関連記事

powered by weblio


政治一覧
政治
2011年7月27日 18:05
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル