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【再掲載】九電川内原発7人死傷事故~許されない談合決着(上)
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2011年3月17日 07:00
 東北地方太平洋沖地震の発生に伴う一連の原発事故への国や東京電力の対応が問題視されていることをふまえ、【2010年2月26日】から恩田勝亘氏が寄稿した原子力発電所関連の記事を再び掲載いたします。

 (2010年)1月29日、九州電力川内原発1号機で7人が死傷した。原発では「大事故」にも関わらず、メディアの続報がない。ひたすら「調査中」しか繰り返さない九電は、一体何をしているのか。電力会社とは持ちつ持たれつの連合がバックアップするのが、「小鳩政権」。その「政治とカネ」にメディアの注目が集まっているのを幸いに、ツジツマ合わせに苦慮している姿が思い浮かぶ摩訶不思議な事故だ。

<「事故は隠せ」 電力会社長年の悪癖>
 どうしてこんなことが起きるのか。テレビ、新聞の第一報に接しても理解不能だったのが、今回の事故だ。「原発は安全」を謳い文句に原発建設を推進してきたのは国と電力会社。チェリノブイリ級超巨大惨事になりかねない重大事故は当然ながら、小さな事故も原発のイメージを悪くするというので握りつぶすのを当たり前としてきた。そこには本社員であろうが末端の下請け作業員であろうが、一個人に対する尊厳のかけらもなく、ともかくその場を糊塗するのを旨としてきたのが電力会社だ。

 とくに原発は「放射能=被曝」のイメージが強いため、電力会社は放射線被曝事故や周辺への放射能漏洩にはことさら神経を尖らす。しかし、原発という巨大システムは、放射能に直接関わりはないところにも重要施設や機材がヤマほどあり、それらが一体に運用されている。そんな場所や機材での事故や故障が原発中枢の原子炉やタービンに影響をおよぼし、重大事故になることもあり得る。したがって、放射能漏洩や被曝とは直接関係なくても、とにかく「事故は隠せ」が電力会社のいわば習い性になっている。

 そんな電力会社の体質も近年はわずかながら改善され、情報公開の重要性を理解してきたように見受けられたが、長年の悪癖はそう簡単に直るものではなかったようだ。ましてや、今回のような大事故は隠せるものではないだけに、注視すべきは今回の事故への九電および国の今後の対応だ。
九電川内原発
 事故は1月29日早朝の午前7時過ぎに起きた。原子炉の運転を止めて行なわれる定検は、原子炉をはじめとするあらゆる機器の保守・点検を行なう。原発の点検作業は事前に予定されたものと、事故、トラブルで緊急に行なわれるものがある。後者は当然のことながら、今回のように事前に予定されていたものも、早く終えて運転再開したいのが電力会社の性。企業として生産性を上げるのはもとより、コストは「原発が安い」をアピールする国策にも沿うからだ。その結果、現場は大変だが、原発では徹夜作業も早朝作業も当たり前に行なわれている。

 事故そのものは、九電と協力企業の西日本プラント工業、西日本技術開発の作業員7人で、配電室にある配電機器の保守・点検を行なう際に発生した。配電室は、タービン建屋という原子炉建屋とは別棟の放射線管理区域外に設置されている。したがって、彼らの着衣は放射線防護服ではなく、通常の作業衣である。そして、配電設備の分電盤を点検するため、1人の作業員が電気を地中に逃がすアースを取り付けようとしたときに火花が発生。本人を含む3人が重症、4人が軽傷を負い、救急車で病院へ搬送された。しかし、重傷者のうち、アースを取り付けようとした西日本プラントの作業員はその日のうちに死亡した。

(つづく)

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恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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