景気後退に伴い企業のスポンサー熱がなかなか盛り上がりに欠けるなか、北九州を何とかスポーツを通して活気づけ、地域貢献を行なっている（株）大庭産業（北九州市小倉北区西港町61-5、以下同社）という会社があると聞き取材を行なった。代表の大庭秀昭氏（以下同代表）はこれまでスポーツイベントの開催や、バレーボールVプレミアリーグの堺ブレイザーズのアドバイザー（広報）、J２プロサッカーチームのギラヴァンツ北九州のアドバイザーを務めるなど、忙しい本業のかたわら地域のためにという志を胸に、様々なイベントに携わってきたという。この同社がなぜスポーツを通した地域貢献に参画しているのかについて聞いてみた。

　始まりは10年程前に子供が通う中学校で部活動を支援する「部活後援会」という組織にPTAとして関わったことがきっかけだという。そこで高い潜在能力持った子供たちを見て、部活を超えた地域のスポーツクラブが必要だと感じたという。調度そのころギラヴァンツの前身、ニューウェーブ北九州のGMであった原憲一氏と出会い、スポーツ教育のあり方について相当の議論を重ねた結果、地域産業としてスポーツを捉えるという結論に達し、現在では女子中学生のバレーボール大会「大庭産業北九州カップ」（現在６回開催）や少年サッカー大会の共催など、スポーツを通じた地道な地域貢献を行なっている。

　　同社の事業内容は北九州市のみならず、福岡市や大分市など他の地域においても高い評価を受けるフォークリフトを主事業とする会社である。製鉄の町、北九州にフォークリフト作業会社として発祥した同社は、阪神淡路大震災で被災地復興にフォークリフトを可能な限り拠出するという献身さが次第に認知され始め、現在はレンタルをメインとした事業展開を行なっている。

　同代表は父である創業社長が病気で倒れ、それまで勤めていた大手スーパーを退職し、27歳から同社の舵取りを行なってきた。従来の物流事業を中心とした営業戦略だけではなく、コンサートなどのイベント会場など、当時の業界では考えられなかった分野に進出。今では西日本総合展示場の協力会員として展示作業や、イベントの運営などのサポートも行なうなど精力的に事業展開を行なっている。約150台のフォークリフトを自社所有し、顧客の要望にオペレーター付きでもレンタルを行なっている。このオペレーターは十分に経験を積んだ社員が行なっており、派遣社員を使わないのは数字だけを追い求める拡大型では顧客ニーズの見落としや、品質の低下を招き、結果値段の叩きあいに合うという悪循環に陥らないようにしているためだという。同代表がサービス業で培ったノウハウを、家業のフォークリフト会社経営に上手く持ち込み成功している良き例だといえる。
　事業内容は関係ない。地域に貢献、恩返しをしていきたい。そんな純粋な気持ちが感じられる清々しい会社だった。

（株）大庭産業
北九州市小倉北区西港町61-5
電話：（093）581-4600
URL：http://www.41-4009.net/index.html

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