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世界の食糧危機をネタに大儲けを目論むアメリカのアグリビジネス(9)
未来トレンド分析シリーズ
2011年5月11日 07:00
参議院議員 浜田和幸

 2002年、アメリカとオーストラリア政府が資金を提供し、34の組織が協力し「国際農業リサーチ研究グループ」が誕生した。そしてこのグループの指導を受けるかたちで「アフガニスタンの農業復興のための未来の収穫コンソーシアム」と呼ばれる組織も旗揚げした。何と、その主たる活動はアフガニスタンの農民たちが長年にわたり育ててきた穀物の種子を捨てさせ、新たにアメリカが開発した種子を広めることであった。

 アメリカもヨーロッパ各国政府もアフガニスタンにおいて、自国に有利な新たな種子産業を育成しようと深慮遠謀を企てている。最終的にアメリカが勝利を収め、外国の企業やアグリビジネスに門戸が開放される際に、最も有利な条件でこの新興市場を押さえようと目論んでいることは間違いない。

種子 その目的を達成するため、アメリカ政府はわざわざ法律の改正まで行ない、アフガニスタンの農民たちが自分たちの種を保存し、次の年に植え付けることができないようにしたのである。2008年10月、国連食糧農業機関が音頭をとり、アフガニスタンの首都カブールでは「アフガニスタン全国種子協会」がお目見えした。まさにアメリカの目指す、自国製の種子をアフガニスタンで長期にわたり広めようとする計画の本格的スタートである。

 イラクにおける情勢も極めて似通っている。イラクは「文明のゆりかご」と呼ばれるほどで農業に関しても数千年の長い歴史を誇ってきた。しかし、イラク戦争が終わり米軍による占領統治が続くなかで、今やイラクはアメリカの小麦や米産業にとっては最大のお得意先となっている。アメリカ政府はイラクを占領することにより、石油だけではなく巨大な市場を手に入れたと言っても過言ではない。15億ドルに達する食糧マーケットがアメリカの企業に開放されたからである。

 短期間でイラクの農業や食糧流通システムはアメリカに全面的に依存するようになってしまった。米軍は穀物メジャー、カーギルの役員経験を持つアムスタッズ氏を引き抜き、米軍の対イラク農業支援事業の責任者に据えた。アフガニスタンで行なったのと同じように、米軍はイラクにおいても同国の法律を改正させ、アメリカからの輸入品、とくに食糧に関してアメリカ依存を強める政策を徹底的に実行したのである。

 その結果、イラクにおいては自前の農業生産や食糧ビジネスはほぼ壊滅状態に陥ってしまった。そうしたうえで、米軍はアメリカ産の種子を積極的に広めているわけだ。本来、イラクの農民たちが豊かな土壌や長い農業経験に基づき大切に伝承してきた種子を、すべて捨てさせたのである。イラクにとって小麦は最大の食糧源であったが、今ではアメリカの種子メーカーが提供する種子やアメリカの穀物会社から必要な小麦やトウモロコシなどを大量に輸入せざるを得ない状況に立ち至っている。

(つづく)

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<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


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