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東電・清水社長はコストカッター(後)~効率重視経営者が招いた罪
深層WATCH
2011年5月 3日 07:00

 地震、津波という天災、戦争やテロというあらゆる事態を想定するなら原発という魔物を一般社会に持ち込むこと自体が人災である。それを別としても今回のフクシマほど人災が集積されたことはないだろう。何よりも菅内閣と当事者たる東電トップの罪は重い。

 清水正孝社長は震災発生後、3月13日に初の記者会見をしたもののそれ以降はプッツリと消息が途絶えた。動静が明らかになったのは3月30日、勝俣恒久会長が記者会見したときだ。会長が会見したのは、「社長が過労で入院した」ためのピンチヒッターだったからだ。その前夜、東電の某副社長宅を訪ねると、不在の夫に代わって奥さんが「明日は社長会見があると言っていました」との返答を得て、やっと出てくるのか、と思ったものだ。それまでの間、清水社長についてはノイローゼ説や自殺説が飛び交っていた。未曾有の事態を引き起こしながら、トップが表に出ないなどということが許されるわけがない。

東京電力 「社長になるにはまずゴマスリ上手であること」というのは、近年退職した東電OBのA氏。同氏によれば、同社各部門トップの常務はそれぞれ一国一城の主で、そのなかで社長になる第一条件がゴマスリであり、それに何かプラスアルファがあることだという。
 清水社長とはどんな人物かといえば、昭和43年に慶応大学経済学部を卒業して東電へ入社。主として資材畑を歩んできたが、私大卒社長は初めて。とくに第4代社長の木川田一隆以下、勝俣前社長まで7人すべてが東大出身の同社にあっては極めて異例。しかも地味な資材部門からの社長就任も初めてである。

 「慶応出身が多い経済界との結びつきを拡げるという狙いもあるが、それ以上にコストカッターとして評価されたもの」(前出・A氏)。
 一説では2兆円かかっていた資材調達費の4割削減に成功したといわれる。しかし、問題だらけの計画停電で浮上した他電力からの電力調達する変電施設もカットしたのが清水社長だという。

 明治時代から関東以北は周波数50ヘルツ、中部以西は60ヘルツ、と日本の電力会社は東西で二部されているため、西から電力融通してもらうには変電施設が必要だ。現在、周波数変換施設は電源開発の佐久間(変換能力30万KW)、中部電力の東清水(同30万KW)、それに東電の新信濃(同60万KW)の3変電所しかなく、融通可能なのは120万KWしかない。そのうちの東電新信濃変電所は、本来なら30万KWのそれをもう1基追加予定だったのをカットしたのが当時の資材担当の清水社長だというから皮肉なもの。
 4月になってやっと避難施設を詫びに訪れた同社長に、「遅い!」と罵声が飛ぶのも当然で、社長退任しても刑事告訴されるを覚悟すべきだろう。

(了)

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<プロフィール>
恩田 勝亘(おんだ かつのぶ)
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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