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安愚楽牧場 嵐の債権者説明会(7)~総括「債権者に情報格差」
倒産を追う
2011年8月25日 13:11

安愚楽牧場債権者説明会 安愚楽牧場の債権者説明会を6回の連載でレポートをしてきたが、その間、多くの債権者からご意見・ご要望などをいただいた。やはり今回の説明会では、挙手しても指名されず、言いたいことが言えなかった債権者も多数いたようだ。いただいたご意見などは、別途紹介するとして、今回は債権者説明会を総括する。

 債権者説明会では、安愚楽牧場の杜撰な経営の実態が明るみになった。同社の説明によれば、倒産のきっかけは「口蹄疫や震災などの問題でオーナーの解約が続出した」だが、"続出した"はずの解約数は全体の1%しかないという。ただ、口蹄疫問題の際、満期を迎えたオーナーに送られた文面にも、『解約数は全体の1%で、経営はまったく問題ありません』と記載されていたといい、説明と矛盾している。

 オーナーの1%が解約しただけで経営が傾いてしまうのか、実際は震災後に1%以上の解約があったのか、どちらかしかないが、安愚楽牧場側は真実を隠している。

 経営がぎりぎりの状態でありながら、オーナーに更新や新規の投資を迫ったことは、詐欺罪にあたるのかどうかも、今後の焦点になってくるだろう。震災後、安愚楽側の言い分を信じ、契約更新や新規投資をしたオーナーが被害に遭ってしまった。信じる者が被害に遭い、疑う者が救われた状況となったのだ。

 三ヶ尻社長は必死に「だますつもりはなかった」と弁明していたが、この必死な姿が逆に不信感を増長させる。まるで自分でも詐欺だと認識しているかのようで、民事再生法を選択して早急に事態の収束を図ろうとする行動も、刑事罰を受けたくないがための動きに見えてしまう。

安愚楽牧場 「口蹄疫問題の頃から自転車操業に陥っていたのでは?」という質問に対し、代理人弁護士は「自転車操業であったという感想を抱いていないわけではない」と答え、はぐらかせながらも、すでに自転車操業に陥っていたことを暗に認めている。

 牛預託商法の「ふるさと牧場」による詐欺事件では、出資金をだまし取ったとして同社社長ら6人が2008年に詐欺罪容疑で逮捕された。経営状態を偽り、出資金を募った安愚楽牧場が、詐欺罪に該当してもおかしくはないだろう。

<債権者に情報格差>

 債権者説明会での質問内容や、会場の反応、債権者への直接取材で感じたことは、債権者には大きく分けてふたつのグループに分類できるということだ。

 ひとつは、今回の倒産は安愚楽牧場が悪かったのではなく、直接的な原因は「東電の放射能漏れ問題やセシウム牛問題」として、安愚楽側の言い分を信じているグループ。このグループは、「東電や国が補償すべき」とし、民事再生法への理解度も薄く、いまだに全額返済を期待している人もいる。

 もうひとつは、安愚楽側の言い分に納得せず、「隠された資産を徹底追及すべき」とするグループだ。このグループは民事再生法の選択にも疑問を持つ人も多く、「たとえお金が返ってこなかったとしても、三ヶ尻社長には刑事罰を望む」と訴える人もいる。

 このふたつのグループには、大きな情報格差が存在する。前者は「ネットが活用できない派」で、後者は「ネット活用派」である。

 債権者説明会には、高齢者の参加者も多く、どちらかというと前者のほうが多いように感じた。民事再生手続きがスムーズにいったとすれば、債権者集会で「再生計画案の決議」が実施され、債権者の多数決で「認可」か「否決」「不認可」が決定する。ここで、このふたつのグループが鍵を握る。安愚楽の言い分を信じる前者が多いようだと、再生計画案は認可されやすく、少ないと否決され、「破産」の道をたどることになる。

 ただ、今後の流れで安愚楽牧場の不祥事などが報道されたり、全国安愚楽牧場被害者対策弁護団の動きによって、刑事事件に発展する可能性もある。

 ただそれも、前者グループが多いと社会問題には発展しにくい。安愚楽問題の今後の行方は、「ネットの普及」が命運を左右する、と言えるかもしれない。

(了)
【山本 剛資】

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