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脱原発・新エネルギー

隠さず公表を! 武田邦彦氏・東北野菜廃棄発言について
脱原発・新エネルギー
2011年9月10日 07:00

 4日(日)に放送されたテレビ番組内で中部大学教授の武田邦彦氏の発言が騒動へ発展している。事の発端は、番組内で小学生から寄せられた「東北の野菜と牛肉を食べたらどうなるの?」という質問への武田教授の回答である。その回答とは、「健康を害しますからできるだけ捨ててもらいたい」「一関市(岩手県)には放射性物質がおちている」「除染してから取り組むという決意がないといけない」などであった。
 
 放送後、名指しされた一関市が抗議したが、この番組を放送したテレビ局に寄せられた意見のおよそ半数は武田教授の発言に理解を示すものだったという。
 近年、環境評論家としてメディアに登場し、「環境問題」を独自の理論で展開する武田教授であるが、専門は原子力。同氏は東京大学を卒業後、旭化成工業(株)に入社。1986年には同社ウラン濃縮研究所所長に就任した経歴がある。原子力の専門家であるがゆえに、今回の福島第一原発事故にともなう危険性について周知している旨、8月に北九州市内で開催された講演会でも言及していた。

 総合的にみれば、今回の原発事故で放射性物質が東日本地区に飛散したことは間違いのない事実であろう。専門家の立場として培ってきた知識を武器にその危険性を発言することに異論はないし、さらに突っ込んだ意見を進言して頂きたい。とくに被ばくに関する許容量の確たるデータのなさが不安感だけを増長させる原発事故ではなおさらである。

放射能汚染が心配される野菜 しかし、最大の関心事は、我々が放射性物質や放射線から身を守るにはどのような術があるのかであろう。下表は文部科学省が提供している「都道府県別環境放射能水準調査結果」(モニタリング調査)の一部抜粋である。これにより各地の放射線情報を知ることが可能だ。表によれば福島を除く東北地方の放射線量と九州地区のそれとを比較すると大差ない。もともと、放射性物質は自然界に存在する、とくに近隣に温泉地などがある場合は他地域よりも高くなるが、気にするレベルではないようだ。ただ、都道府県によっても場所により放射線量の違いはあるため、あくまでも参考程度であろう。

 問題なのは、開示されている各種情報が少ないことにある。また九州電力の「やらせメール事件」のようなイカサマが発生すれば、その信用度は失墜する。つまり、このような状態下では不安感ばかりが先走り、正常に判断することが妨げられる可能性が高いのだ。テレビ番組で武田氏が発言した「東北の野菜」の「東北」の定義は何か。福島県に隣接する茨城県や栃木県は「関東」であるが大丈夫なのか、という疑問が発生するのも当然だ。逆に名指しされた地域の生産者は「風評被害」という名の敵と戦わなくてはならない。

 検査の結果、危険であれば危険と公表すべきだ。その結果として、東電・福島第一原発の半径何キロ圏内は人が住むことが不可能となれば避難すべきだ。そのように言ったほうがよほど信用できる。国民の生命と財産を守ることが国家の役割であることを考えれば当然のことであり、生産者や被災者への補償とは別に考えるべき、と筆者は考える。

【新田 祐介】

都道府県別環境放射能水準結果
     *出典:文部科学省提供「都道府県別環境放射能水準結果」一部抜粋
     *1Sv=1,000mSv=1,000,000μSv
     *福島原発までの距離は各地区の市町村役場までのおおよその距離


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