<小川知事「現場主義」への疑問>
12日、福岡県議会定例会における一般質問で、民主県政クラブ県議団の原中誠志県議は、福岡県飯塚市の産廃処理場問題を取り上げた。現地の人々が汚染により、取水に苦慮している実態を把握するよう、「現場主義」を標榜しながらも現地へまだ足を運んでいない小川洋福岡県知事にモニタリング井戸の設置など調査の徹底を求めた。しかし、小川知事は、「毎年4回31項目に渡って行なわれている調査で有害物質が検出されていない」とし、同調査を継続していく旨を説明するにとどまった。原中県議は10年前から飯塚市の産廃問題について調査を行ない、被害者である住民の側に立って県などに改善を要求してきた。以下、原中県議が同問題についてNET-IB編集部に寄稿した文章を紹介する。
人口147万人を抱える福岡市は、自然と食材に恵まれ、街が清潔であるという高い評価をいただき、「2010年全国一住みたい街」ランキングで第10位に選ばれました。その前提には、騒音、異臭、粉じんなどの排除をはじめ、一般ゴミ、生活雑排水、さらには産業廃棄物(以下、産廃)の的確かつ効率のよい処理が重要となります。
私たちの家庭や会社などから排出される一般廃棄物は年間約4,811万トン。一方、工場や建設などの産業活動で排出される産廃は、その約8倍の約4億400万トン。そのうち、2009年度の不法投棄量は5万7,274トンで、その54%が排出事業者によるもの(※1)です。そして、ゴミや生活雑排水、産廃の処理や埋め立てにともなう環境破壊などが、福岡市の身近な中山間地や田舎で起きています。
<遠賀川の最上流域で産廃による環境汚染>
私が、本年(2011年)「6月定例県議会」の一般質問で取り上げた飯塚市内住の産業廃棄物最終処分場に関わる裁判は、全国初となる「義務付け訴訟」(04年の行政訴訟法改正で設けられた制度。行政が一定の処分をしないと重大な損害が生じるおそれがある場合、住民が裁判所に処分を義務づけるよう求めることができる)という裁判です。
飯塚市の内住地区は、飯塚市(旧筑穂町)の一番南に位置し、篠栗霊場で有名な篠栗町と隣接した場所にあります。そして、この一帯は遠賀川の最上流、いわゆる源流地点です。この地につくられた産廃処分場(埋め立て)からの排出水は、飯塚市民の方々の飲水として取水されている内住川に流れ込み、穂波川を通って流域80万人口の飲水や生活用水として使用される遠賀川へと注ぎ込みます。
内住の処分場は「安定型最終処分場」であり、埋め立て許可されているのは安定5品目(01年7月に安定1品目から5品目に品目拡大された)だけです。すなわち廃プラ、ゴムくず、金属くず、ガラス・コンクリート・陶磁器くず、がれき類であり、寒暖、雪雨露、日射などを受けても形態が変化せず、有害物質を出さないモノと規定されています。
ところが、同処分場から、頭痛や吐き気をもよおす悪臭が発生し、真っ黒の汚水が大量に直下の河川に排出される事態が起こりました。01年8月14日、周辺住民はあまりの悪臭と、汚濁した河川を問題視し、嘉穂保健所(当時)に事態を通報。同保健所の職員が立ち入り調査したところ、同処分場内には大量の産廃が捨てられており、その堆く積まれた産廃から汚水が流れ出、悪臭を発する素堀りの汚水池ができていました。前述のとおり、本来「安定型最終処分場」から悪臭をともなう汚水が発生することはあり得ないはずなのです。
さらにその後、地域の住民組織や地元自治体の調査により、地下水汚染といった深刻な環境汚染も発生していることがわかりました。同地域は上水道が未整備のため、ほとんどの住民は井戸に頼っています。(近隣住民の方々は事の発生から10年以上経った今でも、飲み水は安全な井戸から「もらい水」をせざるを得ない状況です)。
![]() | ![]() |
| (後) ≫
※1 産廃処理が民間同士で行なわれていることから不法投棄や不正処理があることは、以前から指摘されており、その改善のため、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」は10年5月に改正され、11年4月から施行されました。
<プロフィール>
原中 誠志 (はらなか まさし)
1958年9月1日生まれ。福岡県立稲築高校(現・稲築志耕館高校)卒。九州産業大学を卒業し、福岡県に入庁。退庁した後、岩田順介衆議院議員秘書を経て、福岡県地方自治研究所・事務局次長に就任。2011年4月、福岡県議会議員に初当選、厚生労働環境委員会に所属する。趣味は旅行とツーリング。HPはコチラ。
※記事へのご意見はこちら