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飯塚市産廃問題、「義務付け訴訟」の結末にある私たちの未来(後)
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2011年12月13日 16:00

<残された産廃をめぐる全国初の義務付け訴訟>

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 この問題に対し、周辺住民の方々は03年5月、福岡地裁飯塚支部へ操業停止の仮処分申請を行ない、04年9月に操業停止の決定が出されました。しかし、操業停止の仮処分後、業者は倒産。埋め立てられた産廃はそのままとなっています。そのため、住民の方々は、生活環境を元に戻し、子や孫たちの将来に禍根を残さないという想いから、05年、地元住民13人が原告となり、県を相手に、産廃の撤去を求める「義務付け訴訟」を福岡地裁に提訴しました。

 08年2月25日、福岡地裁における一審の判決で、違法な産廃の処理があったこと、処分場内に違法な廃棄物が存在することを認めるとともに、そのために起きた環境汚染を認めました。また、判決のなかで、処分場には許可品目以外の廃棄物が投棄されているということが明らかとされました。つまり、「県が許可した(合法的に設置された)処分場で、脱法的・違法的に産廃処理が行なわれた」ということです。

 しかしながら、「直ちに生命や健康、生活環境に著しい被害を生じさせる恐れがあるとは認めがたい」として、産廃を撤去してほしいという住民の訴えは却下されました。そのため、原告側は、この決定を不服として、同年3月5日に福岡高裁に控訴しました。
 二審の判決は、本年(11年)2月7日に出され、産廃の撤去など環境保全に必要な措置を講ずるよう業者に命じることを県に義務付ける判決を言い渡しました。すなわち、一審判決を退け、住民が勝訴したことになります。
 同判決のなかで古賀寛裁判長は「行政代執行や措置命令をしないことで、重大な損害を生じる恐れがある」と、指摘。そして、業者は現在倒産状態にあるため、判決は、実質的に県に対し代執行まで迫る内容となっています。産廃をめぐり、行政に対応を義務付けた判決は全国初であり、今後、全国の都道府県の産廃行政に大きな影響を与えるものとなっています。

 しかし、福岡県はこの二審判決を不服とし、本年2月21日、福岡高裁に上告しました。こうした県の作為に対し、福岡県議会では本年2月22日、県の上告取り下げを求める決議をほぼ全会一致で可決。それを受けて、福岡高裁(古賀寛裁判長)は本年2月28日、同高裁で敗訴した県の上告について、「地方自治法96条1項12号」で議会の議決が必要と定めていることから、手続きが不適法だとして上告を却下する決定を行ないました。

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<問われる県の姿勢、「県民幸福度」とは?>
 これに対し、県は、上告を却下した福岡高裁の決定を不服として、本年3月7日、最高裁に特別抗告および抗告許可の申し立てを行ないました。その理由として、「地方自治法96条には、今回のような義務付け訴訟の提起は除くと規定されており、県議会の議決は上告の要件ではない」と反論し、重要な法令解釈の誤りがあるとして、最高裁で争うための抗告許可を福岡高裁に求めたものです。そして、本年7月27日、最高裁において福岡高裁の上記決定が破棄され、上告手続きが再開されることになりました。

 小川知事は「県民幸福度日本一の福岡県」のスローガンのもと、「県民の生命、財産を守るのは県の最重要課題の1つ、負の部分は改善、解消する」と、述べられています。しかし、仮に県が敗訴となり、住民への補償、産廃撤去を代執行するということになれば、莫大な県予算がかかるということもあり、そのことが県の上告という姿勢につながっています。そして、本年8月、県は最高裁に上告しました。

 本件の事象発生から約10年の歳月が経ちます。この間、地元住民は筆舌につくし難い心身の労苦を強いられており、また、裁判費用などの捻出も大変苦労しています。また、小川知事は現場主義を標榜していますが、現場を見てほしいという住民の方々の訴えに対して「現在、係争中であるため、現場には行かない」と、頑なです。小川知事のいう「県民幸福度日本一」を実現することと、「裁判で白黒付ける」という県の姿勢、はたして、本当の顔はどちらなのでしょうか。

 田舎の自然を壊してしまっては、都市の快適な生活はできません。田舎でこそ、私たちの生活、生命を支える水がつくられ、空気がつくられ、食べ物がつくられているからです。飯塚市内住の産廃問題は、都市と地方を考えるうえでの象徴的な事例であり、この問題の結末にこそ、私たちの未来が暗示されていると思えます。

【原中 誠志】

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<プロフィール>
原中 誠志 (はらなか まさし)
1958年9月1日生まれ。福岡県立稲築高校(現・稲築志耕館高校)卒。九州産業大学を卒業し、福岡県に入庁。退庁した後、岩田順介衆議院議員秘書を経て、福岡県地方自治研究所・事務局次長に就任。2011年4月、福岡県議会議員に初当選、厚生労働環境委員会に所属する。趣味は旅行とツーリング。HPはコチラ



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