公正取引委員会は14日、新日本製鐵株式会社と住友金属工業株式会社の合併を、一部条件付きで承認すると発表した。公取委が条件をつけたのは2分野。無方向性電磁鋼板と高圧ガス導管の敷設などの業務で国内シェアが50%を超え、「競争を実質的に制限することになる」と指摘した。
これに対して両社は、(1)エアコン用モーターなどに使われる無方向性電磁鋼板については5年間にわたって住友商事に製品を原価で提供し、同時に顧客名簿や取引関係などの商圏を譲渡。(2)高圧ガス導管の敷設などの事業は、新規参入業者に資材や自動溶接機などを子会社と同条件で供給する。 との改善措置を提案。公取委はこれを妥当と判断し合併を認めた。
両事業の譲渡が条件となったが、両事業の売上高は少なく、八幡製鐵と富士製鐵とが合併した時の条件とは大きく違い、新会社に与える影響は小さい。
今後海外当局の審査が認められれば、両社は2012年10月に合併し、粗鋼生産量で世界第1位のアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)に次いで、2位グループの新会社「新日鐵住金」(英文名は「ニッポン・スチール&スミトモ・メタル・コーポレーション」)が誕生することになる。
今後の合併承認は海外の競争当局の判断が焦点となる。両社は10カ国程度の競争当局に合併の申請をしており、すでに米国、ドイツ、ノルウェー、ロシア、ブラジルは承認済みで、中国、インドは審査中。両社は今回の公取委の承認を受けて、残る国からの承認取得に全力を挙げることになるが、競合する中国当局の判断が焦点となる。
公取委は審査の迅速化を図るため、合併審査のガイドラインを7月に改正。2次審査に必要な報告書が出そろってから公取委が判断を下すまでに、これまでは90日間かかるのが通例だったが、今回は34日間でのスピード判断となった。
今回の公取委の合併承認を受けて、両社の「統合検討委員会」は、合併に向けての具体的な協議に入ることになる。組織面では新日鉄は「事業部制」を導入しており、カンパニー制を採用している住金は、新日鉄の組織に合わせて再編・統合することで合意している。
合併後の新会社「新日鐵住金」は、海外での高炉建設などで粗鋼生産量を増加させる一方、事業部門の合理化を進め、合併後3年をメドに年1,500億円規模の収益改善を目指す。
新日鉄と住金の両社は工場閉鎖を検討していないが、一部重複がある薄板や鋼管などの下工程の生産ラインや流通部門の集約などが議題となる。
特に北九州市では新日鉄八幡製鐵所と住金小倉製鉄所の2製鉄所があることから、集約化の内容によっては大きな影響を受ける可能性がある。
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