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弁護士が破産するとき 稲尾弁護士、横領への転落(中)
社会
2011年12月16日 07:00

 依頼者からの預かり金を横領したとされる稲尾吉茂弁護士(福岡県弁護士会所属)の破産開始決定が13日、福岡地方裁判所でなされた。同氏を知る弁護士によると「いたって真面目」な人柄。法と正義を担うのになんら問題がないかに見えた。それが、開業からわずか5年間での転落。破産申立から浮かび上がった横領の背景、弁護士経営の実情を追った。

<「懲戒弁護士」>
 法と人権を守るべき弁護士が依頼者の金を横領するという事件は、司法への信頼を揺るがした。

 福岡県弁護士会では、今年10月18日、渡邉和也弁護士の業務上横領事件の有罪判決を受けて、会長声明を出して謝罪し、再発防止、市民の信頼回復を誓ったばかりだった。
 日本弁護士連合会(日弁連)によると、「弁護士が、その使命である人権擁護と社会正義を実現するためには、いかなる権力にも屈することなく、自由独立でなければならない。そのため、日弁連には、完全な自治権が認められている」という。そのため、弁護士に対する懲戒は、弁護士会と日弁連によって行なわれ、「品位を失うべき非行」があったときに、懲戒を受ける(弁護士法56条)とされている。

 懲戒弁護士の増加に警鐘を鳴らすとして、『懲戒弁護士』(原誠編、双葉社)が出版されたのが1999年。90年代に懲戒件数は増加した。2002年には66件にまで増え、それ以降は横ばい状態だ。これが氷山の一角なのか、厳正に処分した結果の数字なのか。多くの弁護士が手弁当で人権擁護に活動しているも事実だ。

bengosi 日本弁護士連合会では、弁護士の倫理的基盤を確立強化するために、04年、拘束力のある会規「弁護士職務基本規程」を採択。不祥事防止と市民の信頼の維持・獲得に向けて、倫理研修を義務付けてもいる。
 稲尾弁護士については、10年、県弁護士会の苦情窓口に苦情が寄せられ、県弁護士会役員から本人への注意も行なわれていた。

 県弁護士会では、今年になってからは、苦情を受けて調査を開始し、11月21日には会自身が稲尾弁護士の懲戒を請求するとともに、依頼された事件処理が滞ることによる依頼者への被害を防ぐため相談窓口を設けた。相談窓口には23名の電話があり、有志弁護士が原則的に着手金無償で依頼を引き継ぐことになっている。

 稲尾弁護士は、破産開始決定が官報公告され、その2週間以内に異議がなければ破産が確定し、「破産者であって復権を得ない者」として、弁護士資格を失なう(弁護士法7条)。したがって、懲戒手続は打ち切られると見られている。しかし、相次ぐ横領事件への自浄作用、市民の信頼回復には、さかのぼって懲戒するくらいの厳しい姿勢が必要だ。
 稲尾弁護士本人は、すでに自首し、検察庁から任意聴取を受けている。当然立件されると見られている。

(つづく)
【山本 弘之】

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