21日、オリンパスの損失隠し「飛ばし」問題で、旧経営陣が不正経理を主導した疑いが強まったとして、東京地検特捜部と警視庁捜査2課、証券取引等監視委員会は合同で強制捜査に着手し、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で新宿にある本社や、菊川剛前会長兼社長(70)自宅などの関係先を一斉に家宅捜索した。
特捜部などが立件を視野に入れているのは、少なくとも菊川剛・前会長(70)、山田秀雄・前常勤監査役(66)、森久志・前副社長(54)の3人。今後押収資料の分析や関係者の聴取を本格化させ、年度内の立件を目指す。
同社が設置した第三者委員会の調査報告書などは、以下の通り指摘する
(1)同社は財テクの失敗で1990年代に抱えた1,000億円を超える含み損を、99年3月期から投資ファンドなどに移す「飛ばし」で表面化するのを先送り。含み損処理のため06~08年にかけて国内企業3社の買収などを利用して穴埋め。
(2)08年12月、決算の監査をしていたあずさ監査法人は3社の買収額や、同時期の英医療機器メーカーのジャイラス買収にからむ助言会社への報酬が異常に高いと経営陣に指摘。
09年5月まで続いた経営陣との協議で、法令違反があれば金融当局への通報もあり得ると示唆し、経営陣刷新についても言及。それに対してオリンパスは外部有識者に「違法、不正があったとまでは、評価できない」とする報告書の作成を受けて、あずさ監査法人は09年3月期決算を適正とする意見を付けた。
(3)その直後、菊川前会長らがあずさ監査法人に契約を更新しないと通告。第三者委員会はオリンパスがあずさ監査法人を解任した。
強制捜査により、菊川前会長ら3人による損失隠しの実態がいずれ明らかになると思われるが、そもそもの原因は損失隠しの「飛ばし」が原因である。35年間オリンパスの監査を担当していたあずさ監査法人が、1990年代に抱えた1,000億円を超える含み損を、もし見つけていたらこの様な事件に発展することはなかったであろう。しかし本当に見抜けなかったとなれば、投資家は上場企業の決算書および監査報告書を信頼できなくなる。なぜならば今も損失隠しをしている企業もいるということになるし、今後も出る可能性があるからだ。東証は今回の強制捜査を受けて、悪質な損失隠しをしていたオリンパスの上場維持を認めるかどうか難しい判断を迫られることになる。
※記事へのご意見はこちら