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脱原発・新エネルギー

野口悠紀雄氏「省電力型産業構造への転換が急務」(後)
脱原発・新エネルギー
2012年1月 4日 07:00
早稲田大学ファイナンス総合研究所 顧問 野口 悠紀雄 氏

 東日本大震災は日本経済への大きな打撃を与えた。製造業を中心産業としてきた日本にとって、脱原発による電力制約は産業構造の転換を促す。今回、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の野口悠紀雄氏に、日本経済論の分野における第一人者として、現在のエネルギーをめぐる議論と産業構造の関わりについて大局的な見方を語っていただいた。

<製造業に代わるもの>
野口 悠紀雄 氏1.jpg ところで、円高の影響で製造業の海外進出が加速しています。9月26日に発表された経済産業省の「海外現地法人の動向」(11年4~6月期)によれば、設備投資額実績がドルベースで68.7億ドル、前年同期比38.7%増と5期連続のプラスになっています。円高が進んでいるため、円ベースで見ると伸び率は低くなりますが、それでも5,610億円で前年同期比23.1%増と、同じく5期連続のプラスになっています。

 日本は今、省電力型産業構造への転換が急務です。それは、電気・ガス、情報通信、金融・保険、不動産、医療福祉、教育・学習支援からなる高生産性サービス業を伸ばすことです。就業構造を見ても、製造業の就業者数が95年から09年にかけて383万人減って1,073万人となり、一方でサービス業全体では95年から02年にかけて327万人増加し、製造業の減少分を吸収するかたちとなっています。しかし、これまでの日本のサービス産業は生産性が低いため、所得が低下しています。

 これを解決するには、生産性の高いサービス産業を伸ばす必要があり、そのためには、「言葉の壁」と「社会的価値観」という障害を乗り越えなければなりません。とくにサービス業では言葉が重要な意味を持つことになります。また日本では、物づくりに直接結びつかない経済活動を"非生産的で無駄""地に足がつかない虚業"とみなす傾向があります。しかし本来、こうしたルーチンワークの比重が高いものに関しては新興国に任せ、先進国は専門性の高い人材の能力を発揮できる分野に集中すべきなのです。

 製造業の生産拠点移転は産業の空洞化を招くと言われますが、それは新しい産業の登場と成長を考慮しない場合の言い訳に過ぎません。大切なのは、経済的合理性に基づく海外脱出を目論む製造業を引き止めることではなく、それに取って代わる産業を国内につくることなのです。

(了)

≪ (中) | 

<プロフィール>
noguti_p.jpg野口 悠紀雄(のぐち ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。近著『大震災からの出発~ビジネスモデルの大転換は可能か』(東洋経済新報社、2011年7月)、『大震災後の日本経済~100年に1度のターニングポイント』(ダイヤモンド社、2011年5月)など、ほか著書多数。




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