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「メディアの敗北」を意味した原発報道~佐高信氏インタビュー(4)
脱原発・新エネルギー
2012年3月 7日 13:58

"原発のメディア報道"について、辛口評論家・佐高信氏にご意見をお伺いした。昨年(2011年)6月に出版された佐高氏の著書「原発文化人50人斬り」(毎日新聞社)は、今でも増刷に、増刷を重ねている。

 ――メディアは第三の権力と言われていますが、会社にはとても弱いのですね。

 佐高 私は、日本は会社国家そのものと思っています。私が、新聞や週刊誌の連載を潰されたりするのは、政治の問題ではありません。広告スポンサーである会社の意向がすべてです。スポンサーである会社に逆らうとお金が入ってこなくなるので、とても怖いのです。そのスポンサーの最大なものが電力会社なのです。トヨタ(約1,000億円)、パナソニック(約800億円)より総額は多いと言われています。

 先日、東京電力・西澤俊夫社長が記者会見で言い放った「値上げは権利だ!」という言葉には、まったく呆れますが、その背景にはこの現実があります。あれだけ、国民を窮地に陥れ、現在も避難生活をしている国民が多いなかで、まったく反省もなく、あの発言は前代未聞だと感じるでしょう。

 やらせメール問題に端を発する、一連の九州電力・松尾新吾会長と眞部利應社長の発言もスポンサーである自信からくるものです。マスコミなど全く恐れていない傍若無人ぶりです。さらに、大新聞の経済記者を接待漬けにしている自信があります。完全にメディアを舐めています。私の長い経済記者の経験をもってしても、東京電力や九州電力の今回の対応は特にひどいといえます。

sora_2.jpg 「社畜」という言葉があります。一般的には、社員が社畜と思われていますが、それは正しくありません。最大の社畜は社長なのです。外の声がまったく入ってこない環境におかれるのが社畜です。会社は社会によって育まれているものです。にもかかわらず、社会の声が全く入ってこないのは、とても危機的な状況と言えます。

 私が実際に体験した面白い話があります。約30年前の経済記者時代、住友の飛車角と言われた日向方斉氏(関経連会長)の批判記事を書いたことがあります。すごい反発があり、住友金属の大阪本社から取締役が抗議文を持って私を訪ねてきました。脅しですね。私が驚いたのは、脅しの方でなく、わざわざ新幹線で来たという、その感覚です。私は、当時、在京の新日鉄を始めとする日本を代表する企業トップの批判記事は毎日のように書いていました。しかし、それまで、取締役広報室長から抗議文とか脅されたことは一切なかったからです。あとで聞いた話ですが、大阪では大新聞社は財界の一角を占め、いわばお仲間なので、誰も日向方斉氏(関経連会長)を批判したことはなかったそうです。それで、私の記事に過剰反応したことがわかりました。

 この30年前の大阪現象は、今では、東京や九州など日本全国に蔓延してきています。そればかりか、さらに悪化しています。少し前になりますが、日銀の福井俊彦総裁の不手際事件は記憶にあるでしょう。その時、お仲間が批判されたと思い、接待漬けされていた大新聞の経済記者は、根拠のない擁護の記事を載せていました。とても残念なことです。

 第一(国家権力)や第二(経済界)の権力が強ければ強いほど、第三の権力として、メディアが力を持って牽制することは、必要だと思います。しかし、メディアの使命である"批判"を忘れてしまったら、権力だけが残り、"歌を忘れたカナリア"以下になります。常に、何のために権力を与えられているかを肝に銘じる必要があります。

(つづく)
【取材:金木 亮憲 編集:清水 秀生】

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<プロフィール>
sataka_p.jpg佐高 信(さたか まこと)
1945年1月19日山形県生まれ。評論家・東北公益文化大学客員教授。
慶應義塾大学法学部を卒業後、高校教師や経済誌編集長を経て、評論家として活躍。近著に「電力と国家」。


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