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追跡!裁判事件簿

伸和がアドメディアキューブに請負代金請求
追跡!裁判事件簿
2012年3月15日 11:00

0315_s.jpg 創業40年を超す福岡市の老舗印刷会社(株)伸和(本社:福岡市東区、木村奨代表取締役)が、広告会社アドメディアキューブ(株)(本社・福岡市博多区、廣方健一代表取締役)を相手取って請負代金を請求した訴訟が福岡簡易裁判所で始まった。

 訴状などによると、2010年2月頃から4月頃にかけて、伸和がアドメディアキューブから請け負った「CAD2級建築士法規テキスト」などの印刷代金108万8,468円のうち74万9,698円が未払いなため、訴訟を提起したもの。伸和は、11年6月ころから11月にかけて弁護士を代理人として、アドメディアキューブと交渉している。伸和によれば、アドメディアキューブから当時の請求金額の5割である42万4,848円を同年7月末日に支払うとの和解案が提示され、不本意ながら早期回収のメリットを考えて受諾する方向で協議を進めたが、合意書取り交わしの段階になって、合意書をたびたび送ってもアドメディアキューブが記名押印して返送せず、支払期限を10月末、11月末とずるずると引き延ばした。そこで、伸和としては和解案受諾の意思を撤回し、訴訟提起に及んだというのである。

 これに対する答弁書によると、アドメディアキューブは、取り決め代金額は、前記請求金額より相当低廉だったという。したがって、交渉内容も、もともと取り決めた代金額からすれば、残代金はその当時の請求金額の半額程度だから、その程度しか支払ういわれがないという主張になっている。

 訴訟は、口頭弁論が第1回、第2回と開かれ、訴訟前の交渉をめぐって、和解が成立したのか否か双方の主張がたたかわれた。アドメディアキューブ側は、和解が成立したというなら撤回が可能か、していないのであれば合意書を送ったことと整合性がないではないかと反撃。和解が成立していれば、従前の請求金額にかかわらずアドメディアキューブとしては、それ以上の支払い義務はないとする複線を張ったわけだが、その点では、伸和の代理人弁護士に抜かりはない。和解が成立した趣旨ではないと述べ、判決例をあげて「和解契約の諾成契約性に反するわけではない」と主張し、「矛盾しない」と一蹴した。

 和解契約も請負契約も契約である。契約は原則として、契約自由の原則から当事者の合意のみで成立する諾成契約であり、書面による締結または証明を不要とする。ただし、書面がなければ証拠能力としては弱い。書面を取り交わすことが、もしもの備えとして大事なのは言うまでもない。

 本件請負契約が、通常の印刷代金の5割値引きだったというのは、にわかには信じがたいが、アドメディアキューブが半額だったというからには、それを裏付ける証拠が必要だ。今後、証拠を提出できるかどうか。次回口頭弁論は4月12日にある。

【山本 弘之】

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