4月2日に福岡地裁小倉支部に民事再生法の適用を申請した福岡スプリットン工業(株)。コンクリート二次製品メーカーとして、ピーク時には42億円を超える売上高を誇り、地名士・中島家に連なる企業という意味でも知名度、影響力は相当に大きい。しかし、土木業界の低迷にともなって業績は次第に縮小傾向を辿り、採算性も悪化。従来から、同社の先行きを心配する声が絶えなかったこともまた、多くの業界関係者が知るところである。
2007年以降は、立て直しを図るべくメインのひびき信用金庫から財務担当者を招聘。一時は同行の出身者がCEO職に就任するなど、対外的には「ひび信が支える福岡スプリットン工業」という名目で信用の補強が図られた。これにより他行も足並みをそろえ、DDSやリスケが行われたことで、一時的とはいえ状況が改善に向かったことは間違いない。ただ、保有資産の棄損の程度は著しく、有利子負債が年商規模を上回る状態が続くなど、財務内容を好転させるには程遠い状況でもあった。加えて、先に招聘した財務担当者の入れ替えがスムーズに行なわれなかったこともあり、「金融機関の支援もこれで最後か」との見方が支配的となっていた。
これを裏付けるかのように、最近は現場レベルでの慌ただしさを伝える情報が増えていた。CEOのトップセールスと営業サイドの必死の頑張りをよそに、支払条件の変更要請や手形に関する照会、取引先の撤退などの情報が続けざまに寄せられており、信用不安は昨秋10月頃にピークを迎えたようである。そこに、ひび信出身CEO退任の情報がダメ押しとなり、あとは時間の問題となっていた。
債権者名簿を見たある取引先は「馴染みの○○さんの名前が無い?▲▲さんの焦付きは、たったこれだけ?」と驚きを口にした。その一言に、名門と呼ばれた福岡スプリットン工業に対する周囲の評価が如実に表れていた。
※記事へのご意見はこちら