<なぜ日本の企業に炭素繊維開発ができたのか?>
元来、日本人は、「細かいものを詰め込む」ことが好きであり、アメリカやヨーロッパが発明したものを、改良し、小さくしたり、軽くしたり、薄くしたりすることが得意であった。「さまざまな材料を持ち寄って、技術を詰め込んで作る」ということに長けていた。
自動車しかり、家電しかり。現在、完成品では、新興国などコスト(人件費、輸送費など)の安いところに価格競争力で追い上げられているのが現状。しかし、部品や材料は、日本の企業が作っている。
東レの炭素繊維複合材の場合、モノにするまで根気強く、あきらめなかった。利益の出ない期間があったにもかかわらず、粘り強く研究開発を重ね、高度な技術をモノにした。安易に利益追求に流されなかったからこそ、技術力を世界トップにまで高めることができた。
多くの量を生産でき、高い品質の製品を常に出し続けられる技術力と生産能力。東レは、炭素繊維において世界各国のどの国もかなわない技術に、40年という長い期間をかけてたどり着き、「さまざまなものを軽くでき、しかも強い素材=炭素繊維複合材」で優位に立っている。その努力の結晶は、ボーイング787の主翼、胴体、尾翼となり、世界の空に羽ばたいている。
東レは、炭素繊維専用のアクリルを作っている。アクリルを作るのに、大規模なケミカルプラントで、大量生産を可能にしている。長期間に渡って、設備投資も行なってきた。中国などから炭素繊維生産に乗り出す企業が出てきてはいるが、研究開発の蓄積は、そう簡単に追い付けるものではない。
家電、自動車などの産業において、「作るコスト」では人件費などの要因からアジア勢に追い付かれはじめている。完成品では価格競争力において分が悪くなってきているものの、電子製品にしろ、自動車にしろ、部品、材料においては、まだまだ日本は優位を保っている。
これまで蓄積してきた技術を、さらに磨き、「安易に流れない」こと。丹精に、細やかに、丁寧にモノを作り、粘り強く「モノ」にしていく。そこに、未来につなぐべき、日本の底力があるのではないか。
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