<初期投資と経済波及効果に期待>
カジノが合法化され、創設される際に、その地域に与える効果として3つのものがある。
1、初期投資(カジノ建設など周辺への投資)
2、開業した後に地域に生まれる継続的な経済効果(消費、雇用など)
3、カジノ税(財政効果)
国際カジノ研究所の木曽所長は、カジノから得られる3の税収よりもむしろ1、2の直接投資、観光客誘致などによる経済波及効果を重視すべきだと主張する。
アメリカでは、全体でのカジノ産業の市場規模が3兆円程度。アメリカ全土で約450軒のカジノがあり、そこから得られる税収は5,000億~6,000億円程度。日本では、合法化がなれば、まず3つのカジノを3地域に作ろうと構想しており、そこからの税収は、木曽氏の試算では1,000億円程度になるという。
<消費誘発額は年間推計5,000億円以上>
「仮に関東圏、関西圏にカジノのある複合施設ができるとすれば、5,000億円以上の直接投資が入ってくる。日本全国への規模を考えると、3つの地域に建設するとなると、1兆~1・5兆円の規模。施設が開業されれば、年間の消費誘発額は5,000~8,000億円になるでしょう」と木曽氏は推計している。税収額よりもむしろ、カジノを軸にした複合観光施設での消費誘発による経済効果が大きい。木曽氏は、日本でのカジノの経済規模を約1・1兆円の直接投資が得られた愛知万博と同程度、あるいはそれ以上と見ている。愛知万博では観光客の消費総額が約4,500億円だったと言われている。ただ、何年かに1度開催できるかどうかの万博に比べると、カジノは継続的に存在し、長い間機能する。その地域を潤す経済効果はかなり大きいと見るべきだろう。「投資を呼び込み、消費を生むきっかけになる。雇用も生まれます。カジノができたことで、国の経済全体がうまく回るとは思いませんが、ほかの政策と組み合わされば、経済をうまく回す起点になるでしょう」と木曽氏は話す。
観光立国を掲げながら日本は、観光政策でアジア各国に後手を踏んでいる。欧米だけでなく、アジアのケースを見ても経済的なメリットが多く、観光客誘致に効果のあるカジノ。少し言いすぎかもしれないが、120カ国以上で実現されているカジノ合法化は、いわば、「観光立国」に欠かせない"国際標準化"。外国人観光客に広く受け入れられるためには、国際標準化を成し遂げ、外国人観光客にリピートしてもらうための満足度を高めなければならない。カジノ導入は、いくつかある策の中の一つと言えるだろう。娯楽産業においては、国際化を図ってこなかった日本。脱・ガラパゴスに向けての突破口を開くことはできるのか。
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