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山本太郎氏インタビュー~「今年、廃炉が決まらないなら僕は日本を出る」(後)
脱原発・新エネルギー
2012年4月27日 07:00

 NHK大河ドラマ『新選組!』や故・深作欣二監督『バトル・ロワイアル』などで知られる、俳優の山本太郎氏。日本が誇る実力派俳優は、2011年4月9日にツイッターにおいて「黙ってテロ国家日本の片棒担げぬ」と発言し、脱原発活動を開始した。その後、「迷惑はかけられない」と所属事務所を退社し、収入は10分の1になってしまったという同氏。彼をそこまでして突き動かしたものは何だったのか。現在進行形で闘う俳優、山本太郎の「今」に迫った。インタビュー第3回(最終回)。

 ――3.11から1年経つのに、それでもそういう現状に対して見て見ぬ振りをしたり、無関心である人は少なくないと思います。

fukushima.jpg 山本太郎氏(以下、山本) あのような過酷事故から1年が経過して、それでも立ち上がれないと言うならば、「もう立ち上がらなくて良いですよ」、そう言いたいです。だけど、間違いなく汚染は広がっているし、地震の活動期に入って大きな災害が来る確率が高まっているわけです。そして、3.11でそういった災害に対する原発の対策が、まるでデタラメだったとハッキリしたわけです。だとすれば、第2のフクシマがいつ起こってもおかしくない。それでも、無関心でいられるのでしょうか。

 ――山本さんは、現状の日本をどうお考えですか。

 山本 東京の汚染も心配なので、拠点を大阪に移しました。しかし、年内に原発を廃炉にするとか、そういったことが具体的に決まらないのなら、この国を諦めようと考えています。地震は活動期に入っていて、原発の想定はデタラメ。危険過ぎると思います。今、ほとんどの原発が運転を停止していますが、これは定期検査によるもので、危険なことに変わりはありません。そして、脱原発の運動のやり方も変えようと思っています。
 年内までに、結論が出ないのならば、若い人たちにこの国からの脱出を促す趣旨の運動に変えます。日本は、原発から核のゴミが出て、それを処理しきれない状況に陥っています。地球全体を汚染させてしまうほどの量です。自分としても、この決断をくだすリミットは年内かな、と思っています。

 ――山本さんは俳優として長年活躍されていますが、芸能界のなかにいる人間として、今後、メディアが変わる可能性はあると思いますか。

0427_yamamototarou.jpg 山本 仮にもう一度、福島原発と同じような事故があれば、さすがに変わるかもしれません。しかし、それは絶対に阻止しないといけません。我々はあまりにも高い授業料を支払いました。ですから、次の大きな事故が起きてからでは、取り返しがつきません。
 今の日本は、崖っぷちから突き落とされて、指を引っかけて、なんとかしがみついているような状況だと思います。ここがラストチャンス。ここから這い上がるのか、それとも諦めるのか―。それほど深刻な状態ですから、メディアが変わるのを待つ気はありません。

 ――今後はどのような活動を予定されていますか。

 山本 現在は、舞台『椿姫』への出演が決まっているので稽古をしています。本当なら、3.11から1年が過ぎて6月くらいまでは、再稼働問題などを考えると、脱原発活動に力を入れたいところですが、これは去年の6月から決まっていた話ですし、今は集中しています。こうして仕事にどっぷり浸るっていうのは久しぶりなので、そういう喜びは感じています。

 ――原発に反対でも、どんなアクションを起こせばいいのかわからない人は少なくないと思いますが、そういった人々に何を伝えたいですか。

 山本 人間1人の力は、小さいものです。しかし大事なのは、何人の人を本気にできるかということだと思います。自分の周りにいる10人の人を、脱原発に対して本気にするっていうことが大事です。そうすれば、関心を持つ人がどんどん増えて日本は変わるはずです。しかし、そのスピードはもっと上げないといけない、そう感じています。

 ――脱原発を宣言されたあの日から、生活は大きく変わったと思いますし、風当たりも強くなったと思います。

 山本 たしかにそうですが、とにかく生き延びることが重要です。僕にとやかく言うならば、それができた後に言ってくれと思います。脱原発を訴えようが、原発を推進しようが、関心がなかろうが、共通の認識として「生きたい」というのは、同じだと思います。そして、この先の世代にも続けていきたいというのも同じだと思います。実にシンプルなことなのです。そして、"そのためにやるべきことがある"―それだけの話です。

 ――最後に、この国の未来に対してメッセージをお願いします。

 山本 この国の存続は、この危機的な状況というものに、どれだけ多くの人が気付けるのかで決まると思います。先ほど僕は、年内に決着がつかないのなら国を出ると言いました。それは、自分が生き延びるという意味合いもありますが、日本人という種と、アイデンティティを残したいという意図もあります。人を大切にするには、自分を大切にできなくてはなりません。かつて、特殊部隊に所属していた人にこんな話を聞きました。彼らは、どんな状況でも、まずは自分の命を最優先で確保するそうです。それができない人には、他人を守れないということです。放射能汚染による避難の話になると「自分だけ逃げるのか?」という視点で、他人から見られることがあります。しかし、それは湾曲した見方だと思います。自分を大切にして、自分の周りの人たちも大切にする。そのために日本人は、目を覚ますときが来ているのです。

(了)

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<プロフィール>
山本 太郎 (やまもと・たろう)
1974年11月24日、兵庫県宝塚市生まれ。
職業・俳優。1990年高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。91年、映画『代打教師 秋葉、真剣です!』で俳優デビュー。その後、テレビドラマ『ふたりっ子』(96年)、『新選組!』(04年)。映画『バトルロワイアル』(2000年)、『GO』(01年)など数々のヒットドラマ、映画に出演。また、俳優の仕事以外に『世界ウルルン滞在記』などで、肉体を使った体当たりレポートでも人気を博す。『光の雨』、『GO』で01年度日本映画批評家大賞助演男優賞を、『MOONCHILD』、『ゲロッパ』、『精霊流し』で03年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。11年4月、脱原発活動を宣言し、活動家へ。


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